養育費を増額したい時の対処法|西宮神戸尼崎の弁護士ブログ


養育費を増額したい時の対処法


兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。離婚時に養育費の取り決めをしても、時間が経過するとお互いの生活環境や状況が変わってくるものです。想定外の支出が増えてきた時には、養育費の増額を検討しましょう。どのような場合に養育費の増額が認められるのでしょうか?まとめてみました。



🌸どのようなケースで養育費の増額が可能か?

子どもが20歳になるまでの間は、養育費の金額の変更は可能です。


しかし変更が認めれられるには一定の条件をクリアする必要があります。


一つは収入です。


養育費は支払いを受ける側と支払いする側に収入のバランスによって決定されますので、お互いの収入の状況に変化が生じた場合は変更してもらえる可能性が生じます。


例えば、子どもの養育者(監護者)の収入が減少したり無収入になった場合や、支払い義務者の収入が大きくアップしたような場合、増額請求が認められる可能性があります。


もう一つは子どもの状況の変化です。


明らかに以前よりも費用が嵩む状況が生じたケースでも増額の請求が可能です。


子どもの進学に伴い学費が大きくかかるような状況となった場合や、けがや病気で高額な医療費が生じた場合も増額請求が認められる可能性があります。



🌸具体的にどのように進めればいいのか?

養育費の増額を希望する場合は以下の手順を参考に進めてください。


1.双方で協議する

まずは元の配偶者に養育費の増額を要請する背景をしっかり説明しましょう。


面談の他、電話やメール、LINEなど方法は問いませんので、相手が納得できるような詳細の情報を伝えてください。


相手がこちらのコンタクトを無視するような場合は、内容証明郵便を活用する方法もあります。


双方で協議の上合意に至った場合は、金額、時期などの詳細を決定します。


その際極力「養育費増額に関する合意書」を作成してください。

そしてこの合意書はできる限り「公正証書」とすることをお薦めします。


そして公正証書を作成する際には「強制執行認諾文言付き公正証書」としてください。


強制執行認諾文言の約款は、「契約が履行されない場合はただちに強制執行を申し立てることを認めます」という趣旨の条項です。


強制執行とは、債務者が支払いに応じなかった場合に、債権者が裁判所に申し立てる手続きであり、強制執行を申し立てることで、債務者の財産を差押えることが可能になるのです。


また、強制執行認諾文言付き公正証書にしておくことは、相手への心理的圧力として機能する側面もあります。


公正証書がない場合は、家庭裁判所で養育費増額調停をしないと差し押さえができません。


2.養育費増額調停

双方で協議しても合意に至らなかった場合は、家庭裁判所に「養育費増額調停」を申し立てましょう。


調停を起こすことにより、調停委員を介して相手と話し合うことができます。


申立て先の家庭裁判所は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所で、調停申立書、子どもの戸籍謄本、給与明細書、源泉徴収票、確定申告書等等申し立て人の収入に関する資料が必要となります。


調停で話がまとまれば家庭裁判所で「調停調書」の作成が為されます。


養育費の増額時期は通常「養育費増額調停を申し立てた月から」となります。



3.養育費増額審判

養育費増額調停でも決着がつかず調停が不成立に終わった場合は、手続きが自然に「審判」に移行します。


審判では、家庭裁判所が養育費の増額を認めるかどうか、金額はいくらにすべきかを判断します。


審判で増額が妥当と認められると、裁判所が支払い義務者側に対して増額された養育費の支払い命令を出しますので、決定内容に従って増額された養育費を払ってもらうことが可能となります。


審判でも、養育費の増額時期は通常「養育費増額調停を申し立てた月から」です。


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🌸どの程度の養育費の増額が可能なのか?

それでは養育費の増額は一体どの程度の額が可能なのでしょうか?


基本的には「家庭裁判所の定める養育費の算定表」がベースとなり計算されます。


その算定表が元になり、支払義務者側の年収が前回取り決め時より上昇していたり、養育者(監護親)の年収が下がっていた場合には養育費の増額が認められやすくなります。


また、請求時により具体的な事情をしっかり説明し裏付けを添付するなど、納得しやすい背景を作ることは極めて重要です。


例えば、子どもがどうしても私立高校に入学したい、けがや病気で高額な医療費がかかるなどの場合は、その金額がわかる資料を添付し分かりやすく請求を行ってください。


また、調停や審判においては「家庭裁判所の定める養育費の算定表」がベースとなり金額が算定されますが、その前の段階で双方の協議で決定する場合は「算定表」は関係なく合意さえあれば自由に決定できます。


双方協議の交渉の場では、相手の収入や状況によっては、ある程度高額な金額提示も良いでしょう。


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🌸まとめ:迷ったり困ったりしたら弁護士に相談を

養育費の増額を希望する場合は、事情をはっきり相手に理解してもらえるよう、具体的な内容を明示して交渉を行いましょう。


相手が納得しない場合や、合意に至らない場合も多くありますので、調停や審判を視野に入れて粘り強く交渉することが大切です。


不安やわからないことがある場合には、まずは弁護士などの専門家に相談されてみことをお薦めします。