DV男の特徴、見抜く方法とチェックリスト
兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。離婚原因で常に上位を占めているのがDV(ドメスティックバイオレンス=家庭内暴力)です。DVは改善が極めて難しいため、交際中に見抜いてお付き合いを止めることが大切です。今回はDV男の特徴、見抜く方法についてまとめ、チェックリストを掲載いたします。
目次
🌸離婚の4人に1人はDVとモラハラ!
🌸DV男を見抜くのは幸せな結婚のパートナー選びの第一歩
🌸DV傾向のチェックポイント
🌸DV男の特徴と傾向、見抜く方法
🌸まとめ:DV男は交際中に見抜くしかありません
🌸離婚の4人に1人はDVとモラハラ!
最高裁判所が開示している令和元年度司法統計のデータ※によれば、夫婦が離婚に至る原因は男女とも「性格の不一致」が第1位で、女性のみの申立て相談件数では17,242件となっています。
女性の2位は「生活費を渡さない」が12,943件、3位は「精神的に虐待する」が11,904件、4位に「暴力を振るう」が9,039件、5位に「異性関係」が8,800件と続いています。
※「婚姻関係事件数申立ての動機別申立人別全家庭裁判所」
https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/274/011274.pdf
(注)申立ての動機は,申立人の言う動機のうち主なものを3個まで挙げる方法で調査重複集計。
このデータを分析してみると、DVを理由に離婚を申し立てた女性は全体の11%であり、モラハラ(モラルハラスメント=言葉の暴力)と合わせると24.5%となります。
つまり離婚を申し立てた女性の約4人に一人は、DVとモラハラが原因であり、大変深刻な状況であることが分かります。
🌸DV男を見抜くのは幸せな結婚のパートナー選びの第一歩
結婚前には、まさか自分がDVの被害に遭うことなど、考えたこともないという人が多いのではないでしょうか?
結婚してから初めて夫がDⅤ夫だとわかったという人もいれば、結婚前から暴力を受けていたのに、結婚して子供が出来たら治るだろうなどと安易に考えていたという人もいます。
DVはけっして治らないので、注意が必要です。
DV夫は概ね支配欲が強いですし、自己の支配欲を暴力で満たそうとしますので、当然パートナーとしては完全に失格です。
一方、DVを受ける側の立場でいうと、DV被害に遭う人は「自己肯定感」が低い傾向にあります。
もちろん、DVには複雑な問題があって、一概にはいえません。
ですが、多くのケースを見ていると、DVと自己肯定感には、一定の関係があると思わざるを得ないのです。
私のクライアント様でも、よくよく話を聞いてみると、女性側に自信がなかったり、コンプレックスがあったりすることが多く、それは幼少期にいじめられたとか、両親から愛されていなかったなど様々な理由があります。
ただ、共通して言えるのは、自分に自信がないあまり「この男性以外に私を愛してくれる人はいない!」と思い込んでいるということです。
もしくは「この人を助けてあげられるのは私だけ!」と思い込んでいる人もいます。
この思い込みが原因で、DV夫からなかなか離れられず、言いなりになっているケースは本当に多いのです。
🌸DV傾向のチェックポイント
あなたのパートナーにはこんな特徴はありませんか?
【DV加害者になり得る人のチェックポイント】
□感情のコントロールが効かず、瞬間湯沸かし器のような怒り方をする
□一度手が出た後、暴力がエスカレートし、ますますひどくなったような気がする。
□暴力をふるった後は、人が変わったように謝ってきたり、優しくなる。泣いて謝ったり、土下座することもある。
□束縛が激しく、いちいち行動を管理しようとする。
□ストーカーかと思うくらい異常に嫉妬深い
□外面は極めて良く、周囲からの評判は「好青年」
□クレーマー気質で、粘着的な怒り方をする。
□立場が弱いものに強く出て、強いものには何も言えない。
□幼少期、親に酷いDVを受けていた
あてはまる項目はありましたか?
DVはけっして治らないので、一つでも当てはまる項目があれば、最大限の注意を払っていただきたいと思います。
🌸DV男の特徴と傾向、見抜く方法
それでは、具体的に「交際相手がDVかどうかを見抜く方法」について記載していきます。
DV夫とモラハラ夫は、共通点が非常に多いです。
一番の共通点は、「相手を支配しようとすること」。
では、DV夫の主な特徴を7つに絞り、解説していきたいと思います。
特徴① 感情のコントロールがきかない
DV加害者の顕著な特徴としてまず挙げられるのが、感情のコントロールが効かないということです。
気に入らないことがあるとちょっとしたことでもキレて、物を投げたり暴れたり暴言を吐いたりします。
自分を抑えることができず、言わば瞬間湯沸かし器のような怒り方をします。
普段は優しくて穏やかな人でも、いったん怒りのスイッチが入ると人が変わったように怒鳴り散らします。
特徴② 束縛する・ストーカー気質・異常に嫉妬深い
実は、DV加害者にはストーカー気質も見られることが多いのです。
相手に必要以上に執着するため、執着が高じて暴力を振るうケースがあります。
パートナーから行き過ぎた束縛や嫉妬があると、最初は愛情表現と勘違いする場合も多いのですが、あまりにも束縛や嫉妬が強い場合にはストーカーやDVの気質を疑った方がいいでしょう。
例えば一日中、今どこにいるか、誰と何をしているか随時連絡をするように要求する、連絡だけならまだしも写真も添付させる、飲み会は一切禁止!など度を越えたヤキモチを焼いたりする場合です。
度を越えた「束縛」とは、相手をコントロールしたいという欲求であり、モラハラ・DV加害者によくみられる特徴です。
「束縛系彼氏」と言われる男子がいますが、本当は要注意なのです。
このような男性と結婚すると、DV以前に自由を奪われることで苦しむ日々を送ることになりかねません。
特徴③ 外面が極めて良くて、周囲からの評判は「好青年」
DV加害者は、家の中とはうって変わって外面が極めて良く、魅力的で周囲からは人望を集めているタイプが多いです。
なので、実際にDVで逮捕されたりすると「あんな優しそうな人がなぜ?」と驚かれたりします。
周囲に対して良い人を演じるあまり、ストレスが溜まり、溜まったストレスのはけ口として配偶者や子供に対する暴力となって弱い者に向かっってくるというのがDVの典型例です。
よって、DV加害者の特徴としては、優しくて理解力があり、外面が極めて良い人だが、その反面、重度のストレスをためている人ということになります。
違う見方をすれば、「外面がいい」とは、なかなか他人に本心を出さず、外見を取り繕っている人とも言えますよね。
歯の浮くような誉め言葉をいう人もDV加害者の可能性があります。
心がこもっておらず、口先だけの褒め言葉を平気で言ってくる人がいます。
個人的な感覚でいえば、相手のことを褒めていても「目が空洞になっている人」「褒められも嬉しくないし、言葉が何にも刺さって来ない人」には注意した方がいいかな、と思います。
特徴④ DVの連鎖―幼少期DVを受けていた
親にDVを受けていた子が、大人になって自分がDVをするケースです。
悲しいことに、DV加害者が幼少期に親に暴力を受けていたというケースは少なくありません。
生まれてくる親は選べないのです。
とは言え、親を反面教師にして、あんな親にはなりたくないと思い、絶対に暴力だけはしないと固く誓って、どんな理不尽なことを言われても妻や子供に暴力を振るわないという信念をもった方も多くいらっしゃいます。
このようなケースでは、カウンセリングを受けるなど、幼少期の心の傷を癒すことが重要です。
場合によっては、夫婦一緒にカウンセリングに行き、相手の心の傷を癒すお手伝いをすることも必要になってくるかもしれません。
特徴⑤ クレーマー気質である
DV加害者は、クレーマー気質であることが多いです。
クレーマーと正当な抗議との区別は一見難しいのですが、相手を謝罪させることで満足感を覚え、必要以上の文句を言う人はクレーマー気質と言っていいでしょう。
こういう人は現状に満足しておらず、自分のストレスを発散するために、顧客の立場などを利用して理不尽なクレームを言うのです。
クレーマー気質の人は、相手を言い負かすことが本来の目的ですので、相手が謝るまで執拗に文句を言い、けっして冷静に話し合おうとはしません。
総じてみな被害者意識が強く、クレームの頻度が極めて高いことが特徴です。
特徴⑥ 立場が弱いものに強く出て、強いものには何も言えない。
ⅮV加害者も、誰に対しても攻撃的で暴力をふるうわけではありません。
本当にキレてはいけない人には決してキレたりしません。
むしろ紳士的でものわかりが良く好意的な印象を持たれることが多いようです。
しかしながら、立場が弱い人間や自分よりも下だと思う人間には、一転してあたかも王様のように傍若無人に振る舞い始めます。
自分の非を一切認めないのも特徴です。
これは私の経験ですが、DV加害者は立場が強い人には愛想が良くいつもニコニコしているのですが目の奥が笑っていなかったり、ふとした瞬間にヒヤッとしたものを感じることが多いのです。
ほんの一瞬の感覚ですが、是非、気を付けて見ておいてください。
特徴⑦ 自己評価が低い人の心につけ込む
DVを受ける人は、えてして自己評価が低いです。
「自分なんて…」という気持ちがあるとDV加害者につけこまれやすいのです。
これはかなり重要なポイントかもしれません。
自己評価が低い人は、無意識下で、自分は暴力を受けても仕方のない価値のない存在だという思いがあるため、相手からの暴力を甘んじて受けやすいのです。
自分に対する自信のなさから、DVを受けても仕方ないと我慢し続けているのです。
DV加害者は相手のその性格を本能的にかぎつけ、暴力によって支配・コントロールしようとします。
ただ、自己評価の低さは、治すことができます。
コツは、「とにかく、自分を褒めまくること」
他人と比べる必要はありません。自己評価の低さは、他人と比べることが原因です。
とりあえず、自分を褒めて褒めて褒めまくってください。
1か月くらいほめ続けたら、現実が変わってきます。
騙されたと思って、一度やってみてくださいね。
褒めまくった結果、「根拠のない自信」が身に着けば最強です。
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🌸まとめ:DV男は交際中に見抜くしかありません
以上、DV加害者の特徴、見抜き方をまとめてみました。
正直なところ、DV加害者を事前に見抜くのは難しい面があります。
と言うのも、DV加害者は、狡猾で頭がよく、なかなか尻尾をつかませないからです。
ただ、自分の直感を信じて、冷静に注意してみていれば、必ず兆候がありますので安心してください。
要は、この兆候を見逃さないことが大切なのです。
一方で、交際期間中にもし一度でもDVを受けた場合には、相手の懇願に一切耳を貸さずすぐにお別れすることも、また大切です。
ほとんどのDV加害者はDVの後にはものすごく優しくなったり、別れたくないと泣いて懇願してきたりします。
DV加害者と真剣に縁を切るには、情にほだされてはいけません。
DVが改善することは残念ながらほとんどありません。
自分を大切にして、強い意志でDV加害者と縁を切ってください。
モラハラ、DVの傾向がある相手を結婚相手として選ばないだけでも、離婚のリスクは大きく減少します。
冒頭に述べたように、「令和元年度司法統計のデータの離婚原因」から見ると、確率は25%もダウンするのです。
モラハラ、DV傾向の相手を結婚相手として選択しないことは、「幸せな結婚」の大前提です。
何度も申しあげますが、モラハラやDVは結婚後改善することがほとんど期待できないのです。
特に、モラハラ・DVの傾向の中で共通している「弱いものには強いが強いものには弱い」「外面が極めて良い」という2点の典型的な特徴は、十分注意して観察していただきたいと思います。