浪費癖のある配偶者と離婚するには?|西宮尼崎芦屋の弁護士ブログ


浪費癖のある配偶者と離婚するには?


兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。配偶者に浪費癖があると苦労が絶えません。家計が維持できていればまだいいのですが、あまりにひどいケースでは離婚も視野に入れなくてはなりません。しかし浪費癖を理由に離婚するのことは可能なのでしょうか?まとめてみましたので、ご参考にされてください。



🌸協議離婚であれば問題なく離婚できます

協議離婚は離婚全体の約90%を占めます。

理由に関係なく、双方の合意があれば役所に離婚届提出することで離婚が成立します。


相手に今後一緒にやっていく自信がないことを率直に伝え、相手が理解し同意してくれるなら問題はありません。

まずは真摯に話し合ってみることが大切です。


最初は拒んでいても、真剣に向き合って何度も説得を続けていくことで、相手も折れてくれるケースは多くあります。


まずは粘り強く交渉してみましょう。



🌸相手が協議離婚に応じない場合

しかし、相手が協議離婚に応じない場合には、協議離婚は成立しません。


また、離婚自体には合意ができても、離婚の条件についての話し合いがまとまらずに協議が止まってしまうケースもあります。


このような場合には裁判所の手続によって離婚をする必要があります。


裁判所の手続で離婚する場合には、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。


この手続きにより、裁判所に選任された調停委員が夫婦の間に入って離婚のための話し合いを行うこととなります。

日本においては「調停前置主義」が採用されているため、調停を経ずに離婚訴訟を提起することはできません。


そしてこの離婚調停が不成立となった場合に「裁判(判決)による離婚」を求めることが可能となります。


離婚訴訟において、当事者双方から提出された証拠や裁判所の調査によって「離婚原因」があると認められた場合には離婚が可能となります。


🌸浪費癖を理由に離婚できるか?

最終的に裁判で離婚するためには民法で定められた離婚原因が必要になり、原告は離婚原因があることを主張・立証しなければなりません。


法定の離婚原因は次の5つです(民法770条1項)。

裁判で離婚するときは次の5つの理由のいずれかに該当しなければ離婚はできません。

①不貞行為があったとき
※相手方配偶者があなた以外の異性と性交渉を行った場合

②悪意を持って結婚生活を放棄したとき
※相手方配偶者が勝手に家出をしたり、相手を家から追い出したり、生活費を家計に入れないなど

③3年以上生死不明の状態にあるとき

④重い精神病にかかったとき

⑤その他、婚姻生活を継続しがたい重大な理由があるとき
※DV、モラハラや別居により夫婦関係が破綻していると認められた場合など

例えば相手の
浪費の理由が浮気相手である場合は①に該当することも考えられますし、生活費を入れない、借金から逃れるために家出をして帰って来ないなどの具体的な事例がある場合は③に当てはまる場合もあります。


また浪費がきっかけで夫婦関係が破綻していると認められる場合には、⑤に当てはまると判断されるケースもあるでしょう。

しかしただ単に相手が浪費するというだけでは、裁判で離婚が認められるのは困難と言えます。


「相手の浪費がひどすぎて我慢できないが、他には問題がなく生活も維持できている」というようなケースでは離婚事由に該当するのは難しいのです。



ポイントは「婚姻を継続しがたい重大な事由」

民法では、婚姻を継続しがたい重大な事由=婚姻生活が破綻していると認められる場合には、離婚が可能と規定しています。


この婚姻生活の破綻の典型的な例は夫婦の長期間の別居です。

実務的には3年~5年程度以上の別居というのが一つの目安ではありますが、夫婦の年齢、子どもの有無や年齢などの条件も加味した上で長短の判断が為されます。


浪費が原因で別居となり離婚に至るという道筋が一般的ですが、一方、前述のように浪費によって「婚姻生活が破綻している」と直接認定してもらえるケースもありますので、現在の状況に合わせて検討してみる必要があります。



🌸証拠の確保することが大切

「浪費によって婚姻生活が破綻している」と裁判所に認定してには、証拠の確保が重要です。


裁判においては、相手が対立的な主張をしてくることが多くあります。

浪費が事実であったとしても、それを立証するものがなければこちらの主張は通りません。


相手が浪費を繰り返し生活費を入れない場合は、入金されなくなったことを表す家計の通帳のコピーなどを取っておいてください。


また相手に借金がある場合は、消費者金融やカード会社からの通知や、引き落とされた返済金がわかる通帳のコピーなども有効です。


浪費癖が原因で口論となり暴力をふるわれたケースでは診断書が必要ですし、暴言を吐かれた場合は録音データがあれば有利です。


このように直接浪費した証拠に加え、間接的な様々な事情や事案を積み重ねる必要があるのです。


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🌸借金をしている配偶者と離婚する際の注意点


浪費癖のある配偶者と離婚する際に最も注意すべきは借金の有無と自分との関係です。


浪費癖のある配偶者は、キャッシングや消費者金融からの借り入れなど婚姻中に多額の借金を作っている場合もあります。


この借金を配偶者に代わって返済する義務があるのかどうかは大きな問題です。


例えば配偶者が個人的な浪費で借金をした場合は、こちらには返済義務は存在しません。


夫婦であっても個人の借金は個人の責任と考えられるからです。

ギャンブルや遊興費、ショッピングなどで作った借金は、借りた本人だけの責任となるのです。


一方、返済義務が発生するケースもあります。

それは保証人になっている場合と生活維持のための借金であった場合の2つのケースです。


もし、配偶者の借金の保証人となっていれば、離婚してもしなくても保証人としての支払い義務はついて回ります。


そして借金が生活維持のためであった場合も、返済の義務がありますので、離婚協議をする際には借金の有無と使途、保証人になっていないかどうかは、必ずチェックしてください。


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🌸まとめ:困った時は弁護士にご相談ください。

浪費癖のある配偶者と離婚についてと、その具体的な対応策についてまとめてみました。


このようなケースでは、離婚協議が難航して法的な手続きに進んだ場合にも、必ずしも離婚が成立するかどうかわからない面もあり注意が必要です。


もし不安がありましたら、まずは弁護士などの専門家に一度ご相談ください。