調停委員とはどんな人?どう接したらいい?|西宮尼崎芦屋の弁護士ブログ

 


調停委員とはどんな人?どう接したらいい?



兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。離婚問題が当事者間の協議では解決しない場合には、離婚調停という裁判所の手続きを利用できます。離婚調停で実際に話す相手は調停委員となりますが、調停委員とはどんな人たちなのでしょう?接し方で留意すべきことは?まとめてみました。



🌸調停委員とは?


調停委員(正式には「家事調停委員」)は、裁判官または調停官とともに調停委員会を構成するメンバーであり最高裁判所によって任命されます。


調停委員の任命基準は、民事調停委員及び家事調停委員規則1条に定められており、原則40歳以上70歳未満の者から選ばれることとなっており、以下の要件のいずれかに該当することと定められています。


1.弁護士資格を有する者


2.民事または家事の紛争の解決に有用な専門的知識経験を有する者(司法書士、税理士等)


3.社会生活の上で豊富な知識経験を有する者(大学教員、医師、裁判所職員出身者等)


また、最高裁判所が通達している選考基準は、「公正を旨とする者であること」「豊富な社会常識と広い視野を有し、柔軟な思考力と的確な判断力を有すること」といった抽象的な基準になっており、法律の知識がない一般人が選ばれる場合もあります。


なお、離婚調停においては、調停委員は男女1名ずつとなるケースが多いようです。


🌸調停委員の役割

裁判官は毎回の調停に出席するのではなく、調停が成立・不成立になる時や、裁判官の意見が必要なとき等にだけ同席しますので、離婚調停ではほとんどが調停委員を相手に話すこととなります。


調停委員は、夫婦の話し合いを仲裁する立場ですので、双方の意見を聞きながら解決案を策定して行きます。

一方の意見に正当性があると感じた場合には、その意見に合わせた調整案を検討した上で提示し、もう一方の説得を試みることもあります。


つまり調停委員は、公正な立場で両者の話を聞いて、正当性のある意見を取り入れながら調停を成立させようと努力するのです。


離婚調停では双方の利害が対立しますので、それぞれが自分の立場で発言します。

全く逆の主張をすることも珍しくはありません。


その中で調停委員は事実を見極め、正しく公正な方向へ導こうとしますので、調停委員に自分の意見を正しいと理解してもらうことはとても重要なことなのです。



🌸調停委員との接し方

離婚調停で相手方より有利な立場に立つためには、自分の意見に正当性があることを調停委員に伝えられるかどうかが最も重要です。

そのため、離婚調停に臨む際には、しっかり事前準備を行い、調停委員から聞かれそうなことを予想して回答を考えておく必要があります。


そして話す態度にも気をつけるべきです。

調停委員に悪い印象を与えて得することは何もありません。


感情的になったり激高したりすれば、いかに真実を語っていたとしてもその正当性に疑念を持たれてしまうかもしれません。

調停委員から理解を得られやすいように、落ち着いて冷静に礼儀正しく接することが求められます。


また、華美な服装を避ける、時間を守るなどの基本的なことも頭に置いてください。



🌸自分の主張をわかりやすく伝える


離婚調停では、不要なことは言わずに極力端的に、分かりやすく自分の主張を伝えることが大切です。

感情的になり、相手への不満ばかりを並べ立てても、本当に主張したいポイントが埋没してしまい、かえって理解してもらえなくなってしまうことがあります。


そして何と言っても裏付けである証拠を示すことが重要です。


裁判と違い離婚調停においては、証拠の提出は絶対的に必要ではないものの、口頭のみで説明するよりも、証拠を示して主張した方が格段に説得力が増します。


相手方が事実とは異なる内容を主張してくることもよくありますので、それに対する反論にもなります。


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🌸調停委員に不満がある場合


もし担当した調停委員の方とどうしても合わないと感じた時はどう対処したら良いのでしょうか?

変更してもらうことは可能でしょうか?


しかし現実には調停委員の変更に関する規定は存在せず、申し出ることはできても、基本的には調停委員の変更は難しい状況となっています。


これは、調停では当事者双方の意見対立が一般的であり、一方が調停委員に不満でも、もう一方は全く不満がないというようなことも起こり得るため、安易に変更していては調停自体が進められないからです。


しかし、差別的な発言や侮辱など、調停委員の態度に問題がある場合には、家庭裁判所の担当書記官に相談するか、家庭裁判所の総務課に苦情を申し出るという方法も考えられます。


どうしてもその調停委員と調停を続けたくない場合は、調停の取り下げ、不成立にするなどの選択肢を検討せざるを得ない場合もあります。


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🌸まとめ:困った時は弁護士にご相談ください。

調停委員についてまとめてみました。


離婚調停は当事者で決着がつかない事案を、調停委員に公正に判断して解決に向け調整していただく制度です。

しかし離婚問題は当初から利害が対立していますので、難航することも多くあります。


そして調停が不調だった場合には裁判に進むことができます。

調停での内容は裁判にも影響しますので、しっかり準備して有利に進めたいものです。


離婚調停に関して迷ったり困ったりした場合は、弁護士などの専門家へのご相談をお薦めいたします。