所有する土地は離婚時に財産分与の対象か?
兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。離婚する際に所有する財産の中に「土地」がある場合には、価値が非常に高いケースも多いため、財産分与の対象となるかどうかで、金額が大きく変わる場合があります。どんな場合は財産分与の対象で、逆に対象とならないのはどんな場合なのでしょうか?まとめてみました。
🌸財産分与とは?
財産分与は、離婚する際に夫婦が共同で築き上げた財産を分ける手続きを指します。(民法第768条第1項)
通常の場合、所有する財産はどちらか一方の名義となっています。
しかし、婚姻期間中に取得した財産は、片方の名義となっていても、配偶者の協力があって築かれたものでと考えられています。
ですので、離婚する際には、婚姻期間中に夫婦の片方が取得した財産も、原則としては共有財産と評価され分与の対象となります。
そして財産分与では、共有財産を双方2分の1ずつ分けるのが原則です。
夫婦の共同名義の財産は当然のこと、いずれか片方の名義の財産も、それが婚姻期間中に取得されたものであれば、夫婦の共有財産と推定されます。(民法第762条第2項)
婚姻期間中に取得した不動産、株式、車、貴金属、家具などは、通常すべて夫婦の共有財産として財産分与の対象となるのです。
一方、夫婦の片方が婚姻前から所有していた財産や、明らかに夫婦の協力とは無関係に婚姻中に自己の名義で取得した財産は、特有財産となり財産分与の対象から除外されます。
例えば、土地を所有する地主の方が離婚をする場合、土地が最大の価値の財産であることも多いため、それが財産分与の対象なのか否かは大きな問題となるでしょう。
ですので、離婚協議を始める前に、土地の財産分与に関する法律上の取り扱いについて把握しておくことはとても重要だと言えます。
🌸結婚する前から所有している土地は特有財産です
前述の通り、結婚する前から所有していた土地は、特有財産として財産分与の対象外となります。
取得が婚姻期間外ですので、配偶者の協力の下で獲得したものではないため、財産分与の対象とはならないのです。
また、婚姻期間中に取得した土地であっても、相続や親族からの譲渡によって取得した土地も特有財産の扱いとなります。
こちらも夫婦の協力ではなく、自分本人だけの関係性で取得したと考えられるからです。
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🌸婚姻期間中に親族外から購入した土地は共有財産か?
婚姻期間中に、親族ではない第三者から購入した土地は共有財産と評価される可能性があります。
この特有財産か共有財産かの判断の分かれ目は購入資金の性質です。
この土地を購入した資金が、婚姻中に取得した現金や預貯金を原資としている場合には、共有財産と評価され財産分与の対象となります。
しかし、婚姻前から所有していた現金や預貯金を原資としている場合には、土地も特有財産と評価されることになるでしょう。
ただし、土地購入の原資が共有財産であるか特有財産が判然とせず、明確な判断ができないケースも多くあります。
特有財産を主張する場合には、土地購入の原資が婚姻前の預貯金や現金であることをはっきりと証明する必要があります。
例えば、婚姻前の預貯金を婚姻期間中の預貯金と別管理とし、土地の購入代金も婚姻前の預貯金口座から直接振り込むなどの証拠を示す必要があり、これができない場合は共有財産と判定されることが多いでしょう。
🌸土地の運用益は共有財産となる可能性があります
土地は特有財産であったとしても、婚姻期間中に土地の運用で得た利益は、夫婦の共有財産と判断され財産分与の対象となる可能性が高いです。
例えば、所有する土地で駐車場を運営しているケースなどでは、そこで得られた収益は財産分与の対象となることが多いでしょう。
婚姻期間中に賃貸人として賃借人から得た地代等の収益は、運用自体が生計の手段である場合が多く、運営に一定の夫婦の協力があることも考えられます。
運営の形態によっても判断は異なりますので、しっかり調べた上でどちらに該当するかを見通しておかなくてはなりません。
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🌸まとめ:困ったり迷ったりしたら弁護士にご相談ください。
土地を所有する方が離婚をする場合や、逆に配偶者が土地を所有している場合には、特有財産か共有財産かが財産分与の最大の問題点となることも多くあります。
はっきりと区分けできる場合は良いのですが、微妙な状況で判断がつきづらいケースも存在します。
そのような場合には弁護士などの専門家に意見を求め、どちらに該当するかを見通しておけば安心です。
当事務所でもご相談を承っております。