男性が離婚する時に気をつけるべきこと|西宮神戸尼崎の弁護士ブログ

 


男性が離婚する時に気をつけるべきこと



兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。一般的に離婚において男性側は不利と言われていますが、一体どうしてなのでしょうか?また男性が離婚する時には、どこに気をつけるべきなのでしょうか?まとめてみました。



🌸離婚で男性は不利になることが多い?



「離婚において男性は不利」と言われています。

確かに毎月の養育費の支払いに苦慮している男性も多いですし、子供がいる場合には夫側に非がなくても妻が親権者となるのが一般的です。

例えば妻に異性問題などの明らかな離婚原因があるにもかかわらず、親権が取れないケースもあるのです。


また、離婚後の子どもとの面会交流が実施されず弁護士に相談が寄せられることも実際に多くありますし、想定外の様々なトラブルに見舞われることもあるでしょう。


そのため、男性が離婚を考える際には、そんなトラブルを未然に防ぐべく、5年から10年先を見据えて慎重に、細部にわたった取決めを相手とする必要があります。


話し合いが長引くことを恐れて安易に決着をつけるのではなく、後々自分が不利な状況に陥らないよう、財産分与や親権、慰謝料などについてしっかり円満な離婚計画を立てましょう。



🌸男性が不利と言われる理由の一つは金銭問題


男性が不利になりやすいと言われる理由の一つは、男性側がお金を払うことが多いからです。

一般的にはまだ男性側の収入が多く、資産も男性の名義であるものが多いため、財産分与では男性側から女性側へ支払う方が多くなる傾向にあります。


養育費に関しても、女性側が子を監護して親権を持つケースが多いため、男性側から女性側へ支払う方が多いのが実情です。


また、離婚までには一定の時間がかかることが多く、別居してから離婚までの期間では、財産分与や養育費とは別に婚姻費用を支払うよう求められることがあります。


離婚に時間がかかればかかるほど、男性側は金銭的な負担が増えることが多く、こういった背景から、一般的には男の離婚は不利になりやすいと言われています。



🌸極力スムーズに協議離婚で解決を!

離婚の進め方は、大きく協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3種類に分かれます。


協議離婚は、夫婦双方で話し合って離婚するケースで全体の約90%を占めています。


調停離婚は家庭裁判所で調停員に間に入ってもらって話し合いを行うケースで約9%、裁判で家庭裁判所が離婚の諸々の条件を決める裁判離婚は約1%と言われています。


調停離婚や裁判離婚に進んだ場合、決着までに相当な期間を有することが想定されます。

前述の婚姻費用の問題もあり、長引けば長引くほど金銭的な負担は増えていきます。


婚姻費用は言ってみれば相手の生活費です。

婚姻費用をいくら長期間支払ったとしても、離婚に有利になることはないのです。


余分な婚姻費用を長く払い続けるくらいなら、財産分与等の条件面である程度妥協しても、早期に離婚を成立させた方が負担が少なくなるケースもあるのです。


ですから、まず考えるべきは極力スムーズな協議離婚で解決することなのです。



🌸財産分与で留意すべきこと


財産分与は、結婚後に夫婦で形成した資産を分配するというものです。


ですので結婚前から有していた資産は、財産分与の対象からは外れます。


財産分与の対象となる資産を「共有財産」、結婚する以前から有していた資産を「特有財産」と呼びますが、財産分与の対象となるのは「共有財産」のみです。

ですから、財産分与時には区分を曖昧にせずに、自分の「特有財産」はしっかり主張すべきです。


また、財産分与は夫婦の財産を清算する行為ですので、子どもへの財産分与は法律上必要ありません。


例えば調停離婚や裁判離婚の際には、結婚後に形成された資産、住宅ローンなどの負債などを全てリストアップし、資産と評価額(金額)を記載した一覧表を作成します。


その資産合計額を元に夫婦間で平等(基本的には2分の1)になるよう、どの資産をどちらにどのように分配するか等の財産分与の方法を決めるのですが、最終的な調整は金銭を支払うことで行います。


しかし、個別の事情(夫婦のどちらかに浪費癖があったなど)で一方に資産形成を妨げるような事実があった場合には、それらを勘案し財産分与の割合が変動するケースもあります。


🌸退職金の取り扱いに注意


退職金は一般的には、給与の後払い的な性質があると考えられており、給与と同様に財産分与の対象になり得えます。


しかし、退職金が実際に支払われるのは退職時であり、会社の経営環境や退職の事由によっては支払がされない可能性もあります。

確実に支払われるかどかは判然としないのです。


ですので、未だ退職までに何十年もあるというケースでは、一律に退職金を財産分与の対象としてしまうのは難しく、退職金を財産分与の対象とする条件としては、退職金の支給が確実であると見込まれることが必要です。


また、その場合でも退職金全額が対象になるのではなく、退職金の形成に貢献している割合=婚姻期間に応じた部分のみが対象となると考えられています。


この退職金が財産分与の含まれるか否かは、男性側にとっては大きな問題となることが多いため、こちらからは敢えて争点にしないなど、自身のスタンスを決めておく必要があります。


🌸子どもの親権について



日本では母親が親権を取るケースが多くなっています。

「母性優先の原則」という言葉がある通り、子ども(特に未就学児等の年齢の低い子ども)は、母親のもとで一緒に生活するのが原則であるという考え方に立っているのです。


様々な意見はあるものの、現状、日本の家庭裁判所では未だこの傾向が強く、男性が親権を取るケースは多くありません。


そして母親が親権を取得した場合には、夫は母親(子ども)に対して、養育費を支払わなくてはならない義務が発生します。

逆に男性(父親)が親権を取得した場合には、母親側に養育費の支払いを求めることができます。


一方、母親のもとでの監護状況が子どもの成長にとって妨げになるケースでは、夫が親権を獲得できることもあり得ます。

例えば、母親が育児放棄や虐待をしていた場合などです。


また、子どもが一定の年齢を超えている場合には、子どもの意思が尊重されます。

法律的な決まりはないのですが、概ね中学生以上の年齢の子どもに関しては、本人の意思により親権者を決めることも可能となっています。


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🌸面会交流について


親権が得られなかった場合には、子どもとの面会交流を求める権利があります。


しかし面会交流では「子の福祉」という観点も重視されていますので、過度な頻度での面会は認められづらく、月に1回、数時間程度を目安に面会方法が決められることが多いのが実態です。


相手方が面会交流に応じない場合には、家庭裁判所に面会交流の調停を申し立てることも可能です。


「履行勧告」(調停や審判で決まったことを義務者が守らない時に、裁判所が『義務の履行』を促す手続き)を行ってもらったり、「間接強制」(裁判所で決まったことを守らせるためにお金を支払わせる手続き)を申し立てることもできます。


この間接強制が認められてると、相手が1回違反するごとに数万円などの支払を強制されますので、積み重なると大きな金額を支払わなくてはならなくなるリスクが相手に発生します。


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🌸まとめ:迷ったり困ったりしたら弁護士にご相談ください

離婚はスタートが肝心です。

最初にボタンをかけ違えてしまうと、後々まで尾を引き問題をこじれさせてしまうのです。

全体像をしっかり把握して、問題点を押さえた上で協議を始めることが大切です。

そのためにも、交渉を進める前に弁護士などの専門家に意見を求めることをお薦めいたします。

その後に起こるだろう問題についても、ある程度予測ができていれば落ち着いて話を進めることもできるのです。

当事務所でもご相談を承っております。