離婚時に借金がある場合の財産分与は?
兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。離婚時には夫婦の共有財産を分け合う「財産分与」を行い、2分の1ずつとするのが基本です。しかし借金がある場合はどのように分割したらいいのでしょうか?考え方をまとめてみました。
🌸財産分与とは?
結婚後に夫婦で築き上げた共有財産は、離婚の際に財産分与を行います。
2分の1ずつ分けるのが基本ですが、双方の話し合いで自由に決めることが可能です。
離婚を考えた時には、財産分与の範囲に含まれているものと含まれていないものをはっきり区別しておく必要があります。
まず、基本的には結婚後に夫婦で協力して形成した共有財産はすべて財産分与の対象となります。
現金や預貯金を除き、財産をどのように金銭評価するかについて、法律上の定めはありません。
そのため、客観的かつ合理的であれば、当事者間の合意によって評価を決めることができることになっています。
財産分与の対象になるものは以下です。
・現金(へそくりを含む)
・預貯金
・不動産、車
・有価証券・投資信託などで得られた利益
・価値ある宝飾品、美術品、骨とう品など
・退職金
・年金
これらに加えて、マイナスの財産(借金)も、財産であることに変わりはありませんので、財産分与の対象となります。
しかし借金には、財産分与の対象となるものと、ならないものがあります。
🌸財産分与の対象となる借金は?
財産分与は婚姻期間中に積み上げた夫婦の共有財産を離婚時に清算するものです。
ですので、夫婦の片方が結婚前にしていた借金は基本的に財産分与の対象とはなりません。
また対象になるのは、あくまでも夫婦の共有財産と夫婦の共同生活のために負った借金だけに限られます。
つまり、夫婦の片方が自分のためだけに借り入れた借金については、財産分与の対象とはならないのです。
例えば、不足した生活費を補うために借り入れた借金は財産分与の対象です。
使っていた車のローンや、住んでいた住宅のローソンも、家族のために購入したものであれば対象です。
しかし、片方がギャンブルのために借金をしていたり、生活レベルからすれば明らかに高額な、個人的な趣味や浪費と思える借金は対象とはなりません。
🌸借金がある財産分与の注意点
財産分与の対象となるプラスとマイナスの財産がある場合には、差し引いてプラスになれば分割する割合を話し合います。
マイナスとなる場合は、分与すべき財産がないことになりますので、マイナス部分をどちらがどのように負うのかを協議します。
一方、債権者の側からすれば、債務者が夫だった場合などでは、離婚したとしてもそのまま債務者(夫)に返済を続けてもらう状況は変わりません。
ですので、例えば離婚後に夫婦双方で債務を分担することを希望するのであれば、債権者の了解が必要となるのです。
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🌸自営業の配偶者が負う借金は?
事業のための借金は財産分与の対象ではありません。しかし例えば、自営業の夫が事業資金のために妻個人名義で借金をしていたようなケースでは、法的には借金の名義人の妻に返済義務が生じることとなります。
この問題は、協議離婚や調停離婚において「夫が借金を返済をする」旨の合意がなされれば解消できる可能性もあります。
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🌸まとめ:困ったり迷ったりしたら、弁護士にご相談ください。
借金がある場合の財産分与は、その状況によって様々な対処が必要な場合があります。
片方に多額の個人的な借金がある場合などでは、内容によっては判断が難しいケースもあります。
まずは弁護士などの専門家に相談して、一つ一つの問題を整理していくことから始めてはいかがでしょうか?