離婚の慰謝料の時効とは?|西宮尼崎芦屋の弁護士ブログ


 離婚の慰謝料の時効とは?


兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。離婚の慰謝料に時効はあるのでしょうか?また、時効を中断(完成猶予)させる方法はあるのでしょうか?まとめてみましたのでご参考にされてください。



🌸離婚の慰謝料とは?

離婚の慰謝料は、離婚の原因を作った側の配偶者が相手の配偶者に対し、離婚によって被った精神的苦痛について支払う損害賠償金を指します。

これは、相手が離婚に至る原因となった不法行為がある場合に、請求が可能となっています。


例えば、相手の不倫やDVなどで精神的苦痛を受け離婚に至る場合に、これらの被害を受けた側の配偶者が慰謝料を請求できるのです。


また、相手に収入があるにもかかわらず、生活費を渡さずに正当な理由もなく家を出てしまったような場合にも、「悪意の遺棄」に該当することで慰謝料を請求できるケースがあります。

一方性格の不一致のように、どちらか一方の責任ではない場合には慰謝料の請求できません。



🌸離婚の慰謝料の時効とは?

DVなどが原因で離婚する場合には、離婚の成立を優先し慰謝料の取り決めを行わない場合もあります。

そういったケースでは慰謝料は、離婚届を出して法的に離婚が成立した後でも請求することができます。


そして離婚の慰謝料の時効は、離婚した日から3年であり、この時効期限内であれば請求することが可能です。

しかしこの時効を過ぎてしまうと、相手方からどんなに精神的ダメージを受けたとしても、離婚の慰謝料請求をすることはできなくなります。



🌸元配偶者に対する請求と、不倫相手に対する請求



離婚原因に多い不倫(不貞行為)に対する慰謝料については、「不貞行為で精神的苦痛を受けたことに対する慰謝料」と、「不貞行為が原因で離婚することで精神的苦痛を受けたことに対するの慰謝料」という二つの考え方があります。


この二つでは起算日が変わってきます。


1. 不倫をした配偶者に離婚の慰謝料請求をする場合

配偶者が不倫をしたことが原因で離婚した、「離婚の慰謝料」を請求する場合は、離婚した日が時効の起算日です。


2. 不倫相手に慰謝料請求する場合

不倫相手に不貞行為による慰謝料を請求する場合には、以下の期間のいずれか短いほうが時効の期限となります。

①不貞行為の事実と不貞相手の存在を知ったときから3年

② 不貞行為があったときから20年



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🌸慰謝料の時効を中断(完成猶予)する2つの方法


慰謝料請求の時効が迫っているケースでは、慰謝料請求をする意思があることを伝えることで時効を中断(完成猶予)することもできます。


1. 催告による時効の中断(完成猶予)

配達証明付き内容証明郵便などを送付して慰謝料を請求することで、時効を一旦完成猶予することが可能です。

ただし、催告により時効の完成が猶予される期間は半年だけなので、その期間内に裁判上の請求などを行わないと、時効の完成猶予の効力は有しないことになるので注意が必要です。


2.請求による時効の中断(完成猶予)

慰謝料請求に関する訴訟を裁判所に提起することで、慰謝料請求の時効完成が間近に迫っている場合でも、時効の完成を猶予することが可能です。

その後確定判決等により新たに時効の進行が始まり、これを「時効の更新」と言います。

一旦時効が完成してしまうと、慰謝料を請求する権利が消滅してしまいます。


勿論時効が完成した後でも、相手が合意してくれるのであれば支払いを受けることは可能ですが、そのようなケースはまずありません。

もし慰謝料請求を考えているのであれば、時効が完成する前に請求しなくてはなりません。


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🌸まとめ:迷ったり困ったりしたらまず専門家に相談しましょう。

離婚には様々なケースがあります。

慰謝料の取り決めをせずに急いで離婚したものの、後から請求をしたいと考えるのは実際によくある事例です。


もし時効完成が迫っているのに慰謝料問題の解決が見えないのであれば、弁護士に相談して適切な対応を取る必要があります。

悩んだり迷ったりした場合は、まずは一度弁護士などの専門家の意見を参考にしてみてはいかがでしょうか?