養育費に税金はかかる?扶養控除は適用される?|西宮尼崎芦屋の弁護士ブログ



養育費に税金はかかる?扶養控除は適用される?


兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。離婚における養育費は、毎月受け取っているので収入や贈与とみなされるのでしょうか?また、養育費を支払う側に扶養控除が適用されるのでしょうか?まとめてみましたのでご参考にされてください。



🌸養育費は贈与税や所得税など課税の対象になるのか?


原則として、養育費に所得税や贈与税など税金はかかりません。

養育費は離婚に伴って、一方の親権者から子どもの生活費や医療費などの分担金として支払われます。

これは法律上の扶養義務に基いて支払われるものなので、原則的に非課税の扱いとなっているのです。


そして養育費を支払っている側の親は、給与や収入に対し所得税などを納税しています。

ですから、その一部を別居している子どもの生活費や学費として支払っても、受け取る側は課税対象にはならないのです。


毎月、養育費の支払いを受けている側の親にとっては「収入」と認識しがちですが、養育費はあくまで支払っている側の親から子どもに対して渡しているお金なのです。


一方、贈与税に関しては例外があります。

それは養育費を一括払いにしているケースです。


養育費を一括で支払うと、額として大きな金額になる場合があります。

そうすると「子どもの生活に必要な限度を上回る」と見做され、贈与税の課税を受ける可能性があるのです。

たとえば、毎月5万円の養育費を支払う必要があるとしましょう。

その養育費を10年分まとめて支払うと、合計600万円です。

その600万円の養育費を一括払いした場合の贈与税は、以下の計算式で算出されます。

600万円-110万円(基礎控除分)=490万円

490万円×30%(控除後の税率)=82万円

贈与税は約82万円となるのです。


毎月の支払いであれば贈与税はかからないので、養育費の一括払いはデメリットが大きく注意が必要です。



🌸養育費を支払う側は扶養控除は受けられる?


扶養控除は、納税者に所得税法上の「控除対象扶養親族」がいる場合に一定の控除が受けられる制度であり、対象は扶養親族の中でその年の12月31日時点で16歳以上の子どもです。

納税者と生計を一にしていることや、年間の合計所得金額が38万円以下であることなどの条件があり、これらをクリアしていれば控除が受けられる可能性があります。

別居しているので対象にならないとお考えになる方もいらっしゃると思いますが、子どもの生活費や学費、医療費などを負担しているという点では生計を一にしていると見做され、扶養控除を受けられるケースもあります。

当然ですが、離婚後に継続的に養育費の支払いを行っていることが条件となります。


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🌸扶養控除を受ける際の注意すべきこと

扶養控除を受ける際には、2つの注意点があります。


①16歳未満の子どもは控除の対象外

一つは「年少扶養控除廃止」についてです。

既に記載しましたが、子どもが16歳未満の場合は扶養控除が適用になりません。


かつては、16歳未満の子どもであっても、扶養控除が受けられるようになっていましたが、2011年~2012年の改正で除外されてしまいました。

子ども手当の財源確保が理由と考えられています。


②一方の親のみ適用される

最も注意が必要なのはこの点です。

扶養控除は一方の親しか適用されないのです。

同居している親も扶養控除を使いたいと希望している場合には、どちらが申請するかを話し合いで決める必要があります。


具体的な扶養控除の額は「16歳以上19歳未満」と「19歳以上23歳未満」で異なります。

所得税と住民税で見た場合、控除金額は下記となります。

【16歳以上19歳未満】所得税 38万円 住民税 33万円

【19歳以上23歳未満】所得税 63万円 住民税 45万円

これらの条件を基に、扶養控除の権利をもらう代わりに養育費の額を多めにするなどの交渉も頭に入れておく必要があります。


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🌸まとめ:迷ったり困ったりしたらまず専門家に相談しましょう。

離婚問題には付随する様々な問題点があります。

税務もその一つです。

知らなかったことでただただ不安になったり、実際に不利益を被ったりするケースもありますので、問題点についてはまとめて疑問を解決しておく必要があります。

人生をリセットして明るい未来に進むためにも、まず一度は弁護士などの専門家に意見を求めてはいかがでしょうか?