面会交流を拒否したい時に考えるべきこと|西宮神戸尼崎の弁護士ブログ



面会交流を拒否したい時に考えるべきこと 



兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。離婚時に面会交流を取決めたとしても「できれば拒否したい」と考えてしまうことはないでしょうか?しかし拒否は大きなトラブルにつながることもあり慎重に考える必要があります。


目次

🌸面会交流権とは?

🌸面会交流を拒否した場合のリスク

🌸どんな場合に面会交流を拒否できるのか?

🌸まとめ:困ったときは弁護士にご相談ください



🌸面会交流権とは?

面会交流権とは、民法で定められた、子どもと別居する親が子どもと交流する権利を指します。

民法第766条では、協議離婚の際には面会交流方法を定めるよう規定されていますし、調停や訴訟によって離婚する場合にも民法第771条で同様に定められています。

これは、夫婦が離婚して他人同士となり別居した場合においても、子どもからみれば別居中の親もまた親子であることに変わりがないため、親子でありながら交渉がないのは子どもにとって望ましくないと考えられているからです。

また、面会交流権は、「子どものため」という側面が大きい権利です。

民法第766条においても、面会交流については「子の利益をもっとも優先して考慮しなければならない」と明示されていますので、親の都合ではなく子どもの都合や希望を優先し、子どもに与える影響を考慮した上で、面会交流を行っていく必要があります。



🌸面会交流を拒否した場合のリスク

まず、面会交流を拒否した場合のリスクを整理しておきます。

もしも離婚調停や面会交流調停などですでに決定している面会交流を拒否した場合には、どのようなリスクが発生するでしょうか?


①履行勧告される可能性

面会交流について調停や審判で取り決めを行っていた場合には、相手が家庭裁判所へ「履行勧告」を促す可能性があります。

履行勧告というのは、調停や審判で決まったことを義務者が守らない時に、裁判所が「義務の履行」を促す手続きです。

強制力はないものの、裁判所から自宅へと勧告書類が届きますので、気持ちの上では大きなプレッシャーとなり得ます。


②間接強制や慰謝料などの金銭を請求される可能性

履行勧告を無視し続けていると、相手から「間接強制」を申し立てられる可能性があります。

間接強制は、裁判所で決まったことを守らせるために「お金」を支払わせる手続きを指します。

面会交流の約束が守られなかったとしても、強制的に面会を実行できる手段は存在しません。

つまり、面会交流の義務違反というのは「直接強制」の対象にはなっていないのです。

そこで、約束を破った相手に対して金銭的な負担を負わせることによって、間接的に面会を強制することを求めることができ、これを「間接強制」と呼んでいます。

この間接強制が認められていまうと、1回違反するごとに数万円などの支払を強制されますので、積み重なると大きな金額を支払わなくてはならなくなるリスクにつながります。

ただし、面会交流の定めをしていても、間接強制が全て認められるわけではありません。

間接強制が認められるためには、面会交流の具体的な方法が相当詳細に決まっている必要があります


また、同時に頭に置いておかなくてはならないのが「慰謝料請求」の可能性です。

理由なく面会交流を拒否し続けていると、間接強制とは別に、相手から慰謝料を請求される可能性もあるのです。

子どもに会う権利を有しながら履行されないことで、精神的に大きく傷ついたとの理由により、相手は慰謝料を請求することが可能です。


③親権者変更申立をされる可能性

最も警戒すべきはこの「親権者変更申立」です。

理由なく面会交流を拒否し続けていた場合、自分の都合で拒否するような親は親権者として不適切だという理由で「親権者変更申立」を行ってくる可能性もあるのです。


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🌸どんな場合に面会交流を拒否できるのか?

家庭裁判所が判断する際には、明確に子どもの利益に反する事情がない限りは面会を認める傾向があります。

一方、「面会交流を実施すべきではない」と裁判所に認められやすいのは、以下のような事情が考えられます。


1.相手が子どもを虐待するか、または過去に虐待していたケース

相手が子どもに暴力を振るう、振るっていた、などの事情があると、面会交流が認められにくくなっています。

しかし、それらを証明できる証拠が求められます。


2.相手が子どもを連れ去るおそれが高いケース

相手が過去に子どもを連れ去ってトラブルになったことがあるなど、連れ去りのリスクが高いと考えられる場合には面会交流が認められない可能性があります。

ただし特段の経緯はないものの、同居親が連れ去りを心配しているだけの場合には、面会交流拒否の理由にならないでしょう。


3.相手親が子どもの監護親へ暴力を振るうケース

DVなど、相手親が子どもの親権者(監護者)へ暴力を振るう場合にも、面会が制限される可能性があります。

相手から逃れ住所を秘匿しているケースでは、子どもと面会交流させてしまうと、住所が相手に知られてしまう可能性があるため面会交流の拒否が認められます。


4.一定以上の年齢の子どもが自分の意思で面会を拒絶しているケース

子どもの年齢によっては、子ども自身の意思が尊重されます。

たとえば15歳以上の子どもが自分の意思で「会いたくない」と言っていれば、面会は認められない可能性が高いでしょう。

一方、乳幼児や小学生くらいの子どもが「会いたくない」と言っていたとしても、調査官が確認した結果「同居親に遠慮している」と判断されれば面会が認められることとなります。

子どもは同居親に対して気を遣うことが多く、同居親が会わせたくないと思っていれば「会いたくない」と言うこともあるのです。

ですので、一方的に「子どもが会いたくないと言っている」と主張したとしても、裁判において大きくは考慮されないと考えておくべきです。


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🌸まとめ:困ったときは弁護士にご相談ください

面会交流は子どものために行うべきものであるため、一方的な親の都合だけでは拒否できません。

しかし現実問題として、相手が無茶な要求をしてくる、子どもが本当に嫌がっているなどの理由で、面会交流の条件を決め直したいと思われる方も多くいらっしゃいます。

そのような場合は、まず弁護士にご相談ください。

実情にあった対応策についてのアドバイスを受けることから、問題解決につなげて行きましょう。