3組に1組が離婚?日本の離婚率は高い?世界との比較は?西宮神戸尼崎の弁護士ブログ



3組に1組が離婚?日本の離婚率は高い?世界との比較は?


兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。今の日本では夫婦の3組に1組が離婚していると言われています。日本の離婚率は世界の他の国と比べ高いのでしょうか?日本の離婚率が高くなっている原因は一体なんでしょう?離婚の真実をまとめてみました。


🌸目次

🌸日本の離婚率は高いのか?

🌸世界との比較は?

🌸3組の1組が離婚は本当か?

🌸熟年離婚が増加が背景?

🌸まとめ:やはり離婚は増加している。「3組に1組が離婚」は現実問題として考えよう!




日本の離婚率は高いのか?


統計上の「離婚率」は結婚している夫婦に占める離婚した夫婦の割合を表すものではありません。

統計上の離婚率は人口1,000人あたりの離婚件数であり次の計算式で求めます。

離婚率=年間離婚届出件数/人口1,000人

厚生労働省が発表している令和2年の離婚件数は19万3251件であり、日本の人口に当てはめて計算すると令和2年の日本の離婚率は1.57となり、前年の1.69より低下しています。

結婚している人も未婚の人も、子供も老人も全部合わせた人数が分母となり、離婚した人が分子となりますので、出生率や死亡率とも関連して数値は変わります。

離婚した割合を表す正確なイメージ通りの数値とは言えないのだと思いますが、この数値は世界共通で求められますので、まず日本の離婚率の位置づけを他国と比較して確認してみることにします。




 世界との比較は?


離婚率を他の国と比較してみると日本の立ち位置がイメージできます。

厚生労働省「令和2年人口動態統計月報年計(概数)の概況人口動態総覧(率)の国際比較」というデータから9か国で離婚率を比較しランキングしてみると以下のようになります。

1位 アメリカ 2.7

2位 スウェーデン 2.47

3位 韓国 2.1

4位 フランス 1.93

5位 シンガポール 1.9

6位 ドイツ 1.79

7位 イギリス 1.68

8位 日本 1.57

9位 イタリア 1.46


離婚率での比較では国際的には日本は離婚率が低くなっています。

勿論結婚する割合、出生率、死亡率など様々なデータに左右されますので、正確な比較とは言えませんが、それでも日本の離婚する夫婦の割合が高すぎるわけではないことは見てとれます。

それでは何故日本は離婚率が高いと言われているのでしょうか?




3組の1組が離婚は本当か?

「日本は離婚が多い」「3組に1組が離婚している」と言われています。

これはどうしてなのでしょうか?

実はこれは婚姻件数と離婚件数を比較している数値なのです。

令和2年の年間婚姻件数は53万7583件、年間離婚件数は19万3251件となってます。

婚姻件数は前年より7万8069件減少し、減少率は12.7%となっており、また、離婚件数は1万5245件減少し、減少率は7.3%です。

令和2年はコロナ禍の中にあり、婚姻件数も離婚件数も減少していますが、離婚件数の方が減り幅が少なかったことには注目すべきと考えられます。

令和2年の離婚件数を婚姻件数で割ると35.9%となり1/3を上回ります。

この数値が「3組に1組が離婚」と言われる背景にあります。

日本は国際的に見れば「離婚率」は低めであり、憂慮する状況ではないように思えますが、実は日本においては離婚している割合(毎年の離婚件数÷婚姻件数)は確実に上昇しています。

この率を「離婚割合」として過去のデータを確認してみます。

※出典:令和2年人口動態統計の年間推計 

1960年
婚姻件数866,115件    離婚件数69,410件  離婚割合 8.0%

1970年
婚姻件数1,029,405件 離婚件数95,937件  離婚割合 9.3%

1980年 
婚姻件数774,702件   離婚件数 141,689件 離婚割合18.3%

1990年
婚姻件数722,138件   離婚件数157,608件  離婚割合21.8%

2000年
婚姻件数798,138件 離婚件数 264,246件 離婚割合33.1%

2010年
婚姻件数700,214件 離婚件数251,378件  離婚割合35.9%

令和2年
53万7583件、年間離婚件数は19万3251件 離婚割合35.9%

離婚割合が年々増加していることがわかります。

1970年まで一桁だった離婚割合は35%台まで上昇しているのです。

この原因は一体何でしょうか?

考えられることはただ一つ。

それは熟年離婚の増加です。

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🌸熟年離婚が増加が背景?


日本の離婚率が他の国と比し高いわけではないのに、離婚している人が多いように感じられるのは、熟年離婚の増加が要因であると考えられます。

年齢別に見ると40代以降の離婚件数は年々増加傾向にあるのです。

熟年離婚増加の要因はいくつか考えられます。

一つは女性の社会進出により、40代以降も収入基盤のある方が増え、離婚後に困窮することがなくなってきたことです。


かつて専業主婦が中心の時代には耐えるしかなかった方も多くいらっしゃったのだと思いますが、社会構造の変化により女性の自立化が進んだことが大きな要因と考えられています。

二つ目は平成20年度からスタートした「離婚時年金分割制度」です。

年金分割すれば年金が一定額増えるので、専業主婦やパートの人でも離婚しやすくなりました。

三つ目は高齢化です。

老後が長くなり夫婦で暮らす時間が伸長したことで、将来に向かって希望を感じられない人が増えたのです。

子供の為に耐えて来た人も、子供が巣立てば残りの人生は自由に暮らしたいと思うものです。

また、合わない相手の老後の面倒は見たくないと思う人もいるのでしょう。

このような理由により熟年離婚が増加し、それが要因となり離婚する人が増えた印象となっていることが考えられます。

かつては我慢に我慢を重ね、一生添い遂げることが美徳とされる時代がありました。

しかし価値観や時代の大きな変化で「我慢する時代」は終わり、現代は既に「我慢しない時代」に入っていることを実感しています。



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まとめ:やはり離婚は増加している。「3組に1組が離婚」は現実問題として考えよう!


日本は世界の中で離婚率が高いわけではありませんが、離婚する方が増えつつあるのは事実です。

このままの状態が続けば、「3組に1組が離婚」はいずれ現実のものとなるでしょう。

女性の社会進出や少子高齢化などの環境の変化により、かつては我慢していた人たちが離婚に踏み切るようになったことは、ある意味自分を大切にするという、本来のあるべき姿に近づきつつあると言えるのかも知れません。

日本においても海外においても、一生添い遂げるのは難しい時代になって来ているのです。

そうは言っても離婚には様々なハードルがあります。

迷っている方は一度専門家のアドバイスを聞いてみることをお薦めいたします。