選択的夫婦別姓制度とは?メリット、デメリットは?|西宮神戸尼崎の弁護士ブログ


選択的夫婦別姓制度とは?メリット、デメリットは?


兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。「選択的夫婦別姓制度」が話題となっています。選択的夫婦別姓制度とは?そのメリットとデメリットは?最近の動きとともにまとめてみました。


目次

🌸選択的夫婦別姓制度とは?

🌸選択的夫婦別姓制度のメリットは?

🌸選択的夫婦別姓制度のデメリットは?

🌸自民党の国会議員有志50人が、制度への反対を呼び掛ける文書を地方議員に送付

🌸まとめ:選択的夫婦別姓の論議を早急に深めるべき



🌸選択的夫婦別姓制度とは?

民法750条は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫または妻の氏を称する」としています。

日本においては法律で夫婦は同じ氏を名乗ると規定されているのです。

もし、どうしても別姓を名乗りたい場合は、①結婚して戸籍上は同姓としたうえで結婚前の姓を「通称」として使用する、または、②籍を入れずに「事実婚」とする、といった方法をとるしかありません。

②を選択した場合には、相続ができないことや配偶者控除が受けられないなど、様々な問題を抱えることとなります。

選択的夫婦別姓制度は、夫婦は同じ姓を名乗るという現在の制度に加えて、希望する夫婦が結婚後にそれぞれの結婚前の姓を名乗ることを可能とするという制度です。

海外に目を向けると、多くの国で選択的夫婦別姓が認められています。

また、「結合氏」と呼ばれる、自分の姓と配偶者の姓を付け加える方式を採用している国も数多くあり、その形は様々ですが、先進国では日本以外に夫婦同姓を義務化している国はないとも言われています。



🌸選択的夫婦別姓制度のメリットは?

一つは、ジェンダー平等の促進です。

これまでは結婚したら女性側が姓を変えるのが一般的とされて来ましたが、夫婦別姓が可能となれば、女性が合わせるべきというこれまでの概念がなくなり、どちらか一方だけが不利益を被ることなく、ジェンダー平等が促進されるものと考えられます。

厚生労働省の統計では結婚時に改姓するのは96%が女性です。

そういう意味では、確かにジェンダー平等とは言えない実態となっているのです。

もう一つのメリットは、「結婚へのハードルが下がる」というものです。

結婚後も働き続ける女性が増え、仕事上の問題として、結婚によって姓を変えたくないと考える人も増えています。

また、戸籍・免許証・銀行口座など様々な変更手続きも必要となるので、様々な事情により躊躇する人もいるのでしょう。

これらに加え、一人っ子の多い昨今では、結婚による改姓自体が障壁となる場合もあるようです。

選択肢が増えることで、結婚へのハードルが下がるというのも頷けると感じます。



🌸選択的夫婦別姓制度のデメリットは?

デメリットの一つとして言われているのは、家族全員が同じ姓でなくなった場合に、夫婦や家族間の「絆」や「一体感」が薄れるのではないか?というものです。

そしてもう1つのデメリットとして挙げられているのが、「子どもの姓をどうするべきかの選択が難しい」というものです。

夫婦に子どもが生まれた際に、夫婦が同姓である場合は子どもも必然的に同じ姓を名乗ることとなりますが、夫婦が別姓である場合には、子どもにどちらの姓を名乗ってもらうのかを決めなくてはなりません。


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🌸自民党の国会議員有志50人が、制度への反対を呼び掛ける文書を地方議員に送付

2021年1月に、自民党の国会議員有志50人が、制度への反対を呼び掛ける文書を地方議員に送っていたことが判明し話題となりました。

この50人の中に、男女共同参画担当相就任前ではあるものの丸川珠代氏も名を連ねていたのです。

どうして反対の意見を持つ丸川氏が担当相に就任したのか、ジェンダー平等に矛盾しているのではないかなどの疑問の声が噴出しています。


丸川氏らが名を連ねたこの文書は、選択的夫婦別姓制度に賛同する意見書を採択しないよう訴える内容であり、47都道府県議会議長のうち自民党所属の約40人に送られています。

この文書では、夫婦別姓制度を「家族単位の社会制度の崩壊を招く可能性がある」などとして問題視しています。

このように、根強い反対意見もあり、先行きは未だ透明な状況となっています。


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🌸まとめ:選択的夫婦別姓の論議を早急に深めるべき

賛成と反対にはそれぞれの主張がありますが、ともかく先送りせずに早急に議論を深め結論を出すべきと考えます。

弁護士の立場から申し上げれば、そもそも国民は法の下には平等であるべきであり、ジェンダー平等に矛盾する現在の制度は、時代の要請に基づき改正されるべきものと考えています。

また、現制度が一部結婚の障壁となっているという意見があることからも、それも論点として議論を尽くすべきでしょう。