離婚するための知識!夫婦関係が破綻している状態とは?|西宮神戸尼崎の弁護士ブログ

離婚するための知識!
夫婦関係が破綻している状態とは? 


兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。法的に離婚が可能となる「法定離婚事由」の中に、「婚姻生活を継続しがたい重大な理由があるとき」という項目があります。これは「夫婦関係が破綻している状態」を指しますが、どのような状況であればこれに合致するのかをまとめてみました。



目次

🌸現在の状況は法的に離婚できるのかを考えてみましょう

🌸法定離婚事由とは?

🌸「夫婦関係が破綻している」状態とは?

🌸「夫婦関係が破綻している」と認めてもらうためには?

🌸別居する場合の注意点

🌸まとめ:迷ったり困ったりしたら、弁護士にご相談ください。



🌸現在の状況は法的に離婚できるのかを考えてみましょう

離婚を成立させるためには、双方の同意が必要です。

話し合いで同意に至れば「協議離婚」という形となり、離婚届けを役所に提出し、受理されれば離婚が成立します。

しかし相手が同意しない場合には、離婚調停、離婚裁判という法的な手段で離婚手続きを進める必要があります。

法的な手続きにより離婚するためには、現在の状況が「法定離婚事由」に合致している必要があります。

しかしもし、「法定離婚事由」の項目に当てはまらない場合には、このままでは離婚は成立しませんので注意が必要です。



🌸法定離婚事由とは?

法定離婚事由とは、民法に定められている離婚原因です。

離婚裁判をしたときに「法定離婚事由」があることが認定されれば、裁判官が「離婚判決」を書き離婚が成立します。

しかし、法定離婚事由がないと判断されれば、訴訟を起こしても離婚を認めてもらえません。

相手が離婚を拒否している状態でも離婚したいのでしたら、必ず法定離婚事由が必要なのです。

法定離婚事由は以下の5項目となっています。


①不貞行為があったとき
※相手方配偶者があなた以外の異性と性交渉を行った場合

②悪意を持って結婚生活を放棄したとき
※相手方配偶者が勝手に家出をしたり、相手を家から追い出したり、生活費を家計に入れないなど

③3年以上生死不明の状態にあるとき


④重い精神病にかかったとき

⑤その他、婚姻生活を継続しがたい重大な理由があるとき
※DV、モラハラや別居により夫婦関係が破綻していると認められた場合など


この5項目に該当しなければ、調停、裁判と進んでも離婚はできません。

しかし、⑤の「その他、婚姻生活を継続しがたい重大な理由があるとき」については、今後の対応も含めて考えていくことで、離婚ができる可能性があります。




🌸「夫婦関係が破綻している」状態とは?

①~④の理由に当てはまらない場合は、「婚姻を継続しがたい重大な事由」での離婚が可能なのかどうかを考えなくてはなりません。

どんな状態であれば「夫婦関係が破綻」していると認定されるのでしょうか?

裁判による離婚請求が認められるための「夫婦関係が破綻している」という状況は以下のようなものと考えられます。


①DV、モラハラ

相手がひどいDVやモラハラ行為をしている場合には、夫婦関係が破綻していると認められる可能性が高いです。

これを立証するためには、普段の生活の中で証拠を集めておく必要があります。


②長期間の別居

長期間別居状態が継続していると、夫婦関係の破綻が認められる可能性が高くなります。

離婚が認められる別居期間は、状況によっても異なりますが、最短でも2年、平均的には3年~5年となっています。


③長期間の家庭内別居

別居はせずに一緒に暮らしていたとしても、「家庭内別居」と言われるように、「一切顔も合わせず、口も聞かない」というような状態が継続していれば、夫婦関係の破綻が認められる可能性があります。

この場合でも②に記載した別居と同様程度の期間が必要です。


④お互いにが修復する意思を有していない

夫婦の関係が極端に悪化し、お互いが修復する意思を有していないことがはっきりしているケースにおいても、夫婦関係の破綻が認定される可能性があります。


⑤性の不一致

夫婦の片方が性交渉を拒絶したり、性の嗜好が合致していないなどの理由によりセックスレス状態が継続しているような「性の不一致がある場合」にも婚姻関係の破綻が認められるケースがあります。


⑥夫婦関係の極端な悪化

片方の借金癖、飲酒、ギャンブル、相手の両親との不和、宗教活動、明確な性格の不一致など、様々な原因により、夫婦関係が極端に悪化してしまった場合においても、夫婦関係が破綻していると判断されて離婚が認められる可能性があります。



🌸「夫婦関係が破綻している」と認めてもらうためには?

離婚裁判で「夫婦関係が破綻している」と認定してもらうためには、いったいどうしたら良いのでしょうか?


①具体的かつ客観的な事実を主張する

まず、なぜ夫婦関係が破綻していると言えるのかを、具体的かつ客観的に主張しなくてはなりません。

たとえば相手からDVやモラハラ行為を受けている場合は、具体的にいつどこでどんな暴力や暴言などがあったのかなどを、はっきりと明確に訴える必要があるのです。

長期間別居しているようなケースでも、いつから別居して、その後の別居期間がどんな状況であったのかを、明確に説明ぃなくてはなりません。

ただ単に、過去に暴力行為があった、現在別居しているなどと説明するだけでは、離婚が認められない可能性が高いでしょう。


②証拠を集める

離婚したくないと思っている相手は、当然暴力やモラハラなど、離婚の原因となる行為は否定します

ですので、法的に離婚を認めてもらうためには、普段から証拠を集めておく必要があります。

暴力行為があった時の画像が音声データ、病院の診断書などは有力な証拠となり得ますし、当時の相手からのメールなども、内容によっては有効となる場合があります。

その他、詳細に経緯や状況などを綴った日記、状況を知る親しい友人の陳述書なども、証拠として採用される場合があります。

ですので、日ごろからこれらを念頭に、こまめな証拠の収集、記録の作成、保存などを心がけておく必要があります。


③婚姻中に別の人と交際した場合のリスク

一つ頭に置いておかなくてはならないことがあります。

別な交際相手がいる場合のリスクについてです。

夫婦関係が決定的に悪化すると、他の人と交際する方もいらっしゃいます。

この場合、夫婦関係の破綻を確実に立証できる証拠がなければ、他の人との交際が違法な不貞行為と認定されてしまうリスクがあるのです。

そうなると本人は、有責配偶者=離婚の原因を作った配偶者となってしまい、離婚も認められませんし、本人や交際相手に慰謝料を請求されるケースもあります。

本来は配偶者の暴力やモラハラなどが破綻の原因であったとしても、はっきりとした証拠が示せなければ、こちらが大幅に不利になり、交際相手にまで迷惑がかかる状況にもなりかねません。

離婚請求も認められ、慰謝料支払い義務もないようなケースであるにもかかわらず、証拠がないと離婚はできず、逆に慰謝料を請求されるなど、交際相手までトラブルに巻き込んでしまうのです。

このリスクを考慮し、もし離婚成立前に別の人と交際する際には、必ず夫婦関係の破綻を確実に立証できる資料を揃えておくことを頭に置いておきましょう。


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🌸別居する場合の注意点


法定離婚事由①~④に合致しない場合でも、今後別居し一定の期間が経過すれば「夫婦関係の破綻」が認定され、離婚が成立する可能性があります。

ですので、何度話し合っても合意に至らないようなケースでは、別居を検討することとなります。

しかし、別居の際「突然家を出て生活費を払わない」というような行為を行うと、「悪意の遺棄=悪意を持って結婚生活を放棄した」となり、有責配偶者となるリスクがあります。

有責配偶者となってしまった場合、こちらから離婚請求しても認められません。

別居する際には、事前に相手とよく話し合いを行い、「もう同居はできない」ことを双方が納得した上で、家を出たら必ず生活費を払い、「悪意の遺棄」と認定されないよう気を付けましょう。



🌸まとめ:迷ったり困ったりしたら、弁護士にご相談ください。

離婚を考える時には、現在の状況を冷静に見極めて、どのような道筋で進めて行くのかをしっかり検討しなくてはなりません。

相手が話し合いに応じない場合や、離婚を完全に拒否している状況であったとしても、離婚に至る手段はあります。

しかし、焦って闇雲に突っ走ってしまうと、取り返しのつかないミスを犯し、離婚できなくなってしまうケースもあります。

まずは経験豊富な弁護士に相談し、基本的な知識を得た上で、状況にマッチした方策を立てるところから始めることをお薦めします。

当事務所でもご相談をお受けしていますので、お気軽にご連絡してみてください。