事実婚とは?メリット・デメリットは?|西宮神戸尼崎の弁護士ブログ

 



事実婚とは?メリット・デメリットは?


兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。最近、事実婚をする人が増えていると言われます。ユーチューバーのはあちゅうさんや、三代目JSBのELLYさんの事実婚も話題となりました。そこで事実婚のメリットやデメリットなどをまとめてみました。


目次

🌸事実婚とは?

🌸事実婚と法律婚の違いは?

🌸事実婚同棲の違いは?

🌸事実婚のメリットは?

🌸事実婚のデメリットは?

🌸まとめ:メリット、デメリットを理解して選択を!



🌸事実婚とは?

婚姻届を提出せずに、一緒に生活をしている男女のことを「内縁」と呼ぶことがありますが、事実婚も基本的には同じ意味です。

法律婚は、婚姻届けを市区町村役場に提出して、法律上の夫婦となった状態を言いますが、事実婚ではこの届け出を行いません。



🌸事実婚と法律婚の違いは?


法律婚では、二人で夫婦どちらかの戸籍に入りますが、事実婚の場合は別々の戸籍のままです。

そのため、事実婚で子どもが生まれると、母親は当然法律上の母親となり子どもはこの戸籍に入りますが、父親は認知をしないと法律上に父親にはなれません。

また、夫婦のどちらか一方が亡くなった場合の相続権は、事実婚の場合発生しません。

どれだけ長く一緒に暮らしていたとしても、相続はできないこととなります。



🌸事実婚と
同棲の違いは?

一緒に生活している状態が「事実婚」であるなら、同棲とはどこが違うのでしょうか?

事実婚として認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。

①当事者双方に婚姻の意思があること

②夫婦同然の共同生活を送っていること

③社会的にも夫婦と認められていること


さらに、「婚姻届は提出しないが、自治体からは家族として扱ってほしい」という場合には、2人の住民票を同じにするという方法がおススメです。

一方を住民票の「世帯主」として、もう一方の続柄を「妻(未届)」「夫(未届)」と記載している事実婚カップルは実際のところ多くいます。

事実婚が認められれば、片方が社会保険制度上の扶養に入ることも可能となります。



🌸事実婚のメリットは?

事実婚には以下のようなメリットがあると言われています。


①姓が変わらない

現在の法律では、結婚に際し、夫婦どちらか一方が必ず姓を変更しなければなりませんが、事実婚であれば姓を変更する必要はありません。

女性の社会進出に伴い、姓を変更することによる社会的な不利益や不便さが指摘され、「選択制夫婦別姓制度を導入すべき」との機運も高まっていますが、未だ具体的には検討は進んでいません。

現状では、どうしても姓を変更したくない場合には、事実婚をするしかないのです。


②対等な関係を維持しやすい

法律婚では、95%以上の女性が男性側の姓を選んでいると言われています。

事実婚の場合は、戸籍は別々のままですので、結婚前と同じように対等な関係を維持しやすいと言えます。


③相手方の親族との付き合いが薄くてすむ

法律婚をすると配偶者の両親や親族とも姻族関係になるため、付き合いが必要になることもありますが、事実婚の場合はそれほど強く意識する必要はありません。


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🌸事実婚のデメリットは?

事実婚のデメリットには、以下のようなものがあります。

①配偶者控除・配偶者特別控除などが受けられない

配偶者控除や配偶者特別控除が使えませんので、税制上不利となります。


②相続権がない

事実婚の場合は、配偶者が亡くなったとしても相続できません。

事実婚の夫婦が相手に遺産を残したい場合は、遺言書を作成する必要がありますが、配偶者控除などを利用できないため、法律婚より課税される相続税の金額が高くなります。

また、遺留分を有する法定相続人がいる場合には、所定の割合に従いその金額は法定相続人に支払われます。


④子供が生まれたときの手続きが複雑

事実婚の夫婦の間に子供が生まれた場合、子供とその父親には法律上の親子関係は生じません。

法律上の親子となるためには、認知という手続きをとる必要があります。

また、親権者を父親に変更したい場合には家庭裁判所に親権者変更の調停を申し立てなければなりません。


⑤夫婦関係を証明しにくい

法律婚の夫婦の場合は、戸籍謄本を提出することで夫婦関係を証明できますが、事実婚の場合は戸籍は別々ですので、夫婦関係を証明しにくいというデメリットがあります。


⑥手術などで同意の代理ができない場合がある

本人が意識不明などの場合で、手術等医療行為を行う際、本人に代わって親族や配偶者が「同意書」にサインを求められることがありますが、事実婚の場合、法律上は他人とみなされるため、同意書へのサインができないケースが考えられます。


🌸事実婚を解消する場合に請求可能な費用



事実婚であっても、夫婦関係解消時に相手方に費用を請求することが可能です。

①慰謝料

②財産分与

③養育費

④年金分割※事実婚の場合には、婚姻時期や年数を客観的に証明することが難しいため、「第3号被保険者(厚生年金保険の被保険者となっている人に扶養されている配偶者)であった期間」に限り年金分割の対象


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🌸まとめ:メリット、デメリットを理解して選択を!

最近、新しい夫婦のカタチとして「事実婚」が注目されています。

かつては、法律婚が何らかの理由でできない場合に選択されていたケースが多かったのだと思いますが、現代においては、あえて法律婚ではなく事実婚を選ぶカップルも増えているようです。

事実婚ははっきりとしたメリット、デメリットが存在します。

内容を十分理解した上で、どちらをチョイスするかをお考えいただきたいと思います。