夫婦円満調停とは?メリット、デメリットは?
兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。夫婦関係が上手く行かなくなった時、修復に向けた話し合いが進まないこともあるでしょう。そんな時には家庭裁判所の調停手続を利用することが可能です。それが「夫婦関係調整調停(円満)」です。メリット、デメリットなどをまとめてみました。
目次
🌸円満調停とは?
🌸夫婦関係調整調停(離婚)との違いは?
🌸円満調停のメリットは?
🌸円満調停のデメリットは?
🌸円満調停の手続きの流れ
🌸必要な書類は?
🌸円満調停の終了は?
🌸まとめ:迷ったり困ったりしたら弁護士に相談を!
🌸円満調停とは?
円満調停は、正式には「夫婦関係調整調停(円満)」と言い、夫婦関係を円満な状態に回復するために、家庭裁判所の調停委員会を介入させて話し合いを行うことを指します。
当事者間ではついつい感情的になり、本当の気持ちや言いたいことを理性的に表現できない場合もあります。
もう一度やり直したいと真剣に願っているようなケースでは、有効な手段と言えるでしょう。
円満調停では調停委員から、夫婦関係が円満ではなくなってしまった原因や、相手への要望、今後の夫婦関係で望むこと、自分が相手にしてあげたいことなどがヒアリングされるようです。
🌸夫婦関係調整調停(離婚)との違いは?
夫婦関係調整調停には、「離婚」と「円満」の2つがあります。
どちらも、家庭裁判所の調停委員会を介して話し合う手続であり、当事者間で合意すれば調停が成立します。
しかし、離婚調停と円満調停では、申立人の希望することが違います。
離婚調停の場合、申立人は相手方と離婚することを望んでおり、円満調停は、申立人は円満な夫婦関係を回復することを望んでいるのです。
合意に至らなければ調停は不成立となりますが、不成立となっても審判手続に移行することはありません。
しかし相手に離婚裁判を起こされる可能性は残ります。
🌸円満調停のメリットは?
円満調停のメリットは、前述の通り「冷静に話し合いができる」という点です。
円満調停では、それぞれ当事者が別室に待機し、別々に調停委員に状況を説明したり、考えを述べたり、調停委員からの質問に答えたします。
双方が顔を合わせることなく、調停委員を通じて話し合いを進めて行くので、感情的にならず、冷静な状態で理性的に考えることができます。
また、第三者である調停委員が両方の話を聞き、公平な立場に立って原因を探求しアドバイスをしてくれるので、素直に意見を聞きやすく、解決につながるケースもあります。
🌸円満調停のデメリットは?
デメリットとして大きいのは、やはり手間がかかることでしょう。
調停は平日の日中に家庭裁判所で行われますので、申し立ての準備や日程調整なども含め、かなり労力がかかります。
また令和元年の円満調停2,470件のうち、婚姻継続は408件、うち同居は207件となっており、申立人にとってはやや厳しい結果となっています。
※令和元年司法統計より
🌸円満調停の手続きの流れ
円満調停を行うには、まず、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所か、当事者間の合意で決めた家庭裁判所に、円満調停を申し立てます。
申立てが受理されれば、家庭裁判所と第一回目の調停期日を調整した後、家庭裁判所から相手方へ通知がなされます。
調停期日になったら家庭裁判所に行って、夫婦はそれぞれ別室で待機し、交互に呼ばれて調停委員と話します。
その後、状況に応じその後も調停期日が設けられ、話し合いを進めて行きます。
そしていずれかの時期に、双方が合意に達すれば調停は成立し、合意できなければ不成立となります。
🌸必要な書類は?
申立書及びその写し1通
夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
事情説明書
子についての事情説明書 ※未成年の子供がいる場合
連絡先等の届出書
進行に関する照会回答書
費用:収入印紙代1200円と、連絡用の郵便切手代
※事案によっては、その他の書類を追加で依頼される場合もあります。
🌸円満調停の終了は?
お互いが合意できた場合に円満調停は成立しますが、合意内容は、夫婦関係を修復するものだけではありません。
離婚、婚姻は継続するも別居など、当初、申立人が希望とは異なる内容で合意する場合もあります。
また、最後まで双方の意見が食い違い、合意に達しなければ、円満調停は不成立となりますが、相手が離婚を希望している場合には、その後提訴され離婚裁判に進むケースもあります。
日本は調停前置主義(離婚裁判の前には離婚調停が必要)が採用されていますが、円満調停を経ていることで、条件を満たしていると見做されるためです。
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🌸まとめ:迷ったり困ったりしたら弁護士に相談を!
夫婦円満調停は、やり直したいというはっきりとした意思を示すことで、相手に真摯に訴えかけることができる有効な手段です。
しかし既に関係がかなり悪化してしまっている場合も多く、申立人の希望が叶えられるケースが多くないのも事実です。
迷ったり困ったりした場合は、まずは専門家の意見を聞いてみることをお薦めします。
当事務所でもご相談を承っております。