浮気で離婚。どんな証拠が有効か?
兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。相手の浮気で離婚する場合、調停や裁判では証拠の有無が争点となります。その場合、どんな証拠は有効となるのでしょうか?具体的にまとめてみましたので、ご参考にされてください。
法的に見た場合の浮気、不倫
離婚調停や裁判での争点は、「不貞行為」があったかどうかだけです。
不貞行為とは、主として「婚姻期間中に自らの意思で配偶者以外の人と肉体関係を持つこと」を指しますが、厳密に言えば肉体関係を持たなくても該当するケースも存在します。
※「不貞慰謝料請求事件に関する実務上の諸問題」(判例タイムズNo.1278・45頁以下)記載の不貞行為に該当する3つの行為
・ 性交又は性交類似行為
・ 同棲
・ 上記の他、一方配偶者の立場に置かれた通常人の立場を基準として、一方配偶者・他方配偶者の婚姻を破綻に至らせる蓋然性のある異性との交流・接触
以上のように、肉体関係があれば不貞行為に該当しますが、肉体関係を有するまでに至らない場合であっても、「不貞行為」に該当することがあり得ます。
慰謝料をもらい離婚するには「不貞行為」を立証する証拠が必要
相手が不貞行為を認めれば、慰謝料を定め協議離婚の手続きを進めることとなります。
しかし頑なに不貞行為を認めない場合や、認めても慰謝料の支払いを拒否するようなケースでは、不貞行為を原因とする離婚調停を申し立てることとなります。
離婚調停では調停委員が間に入って協議が進みますが、それでも折り合いがつかない場合は離婚裁判で決着をつけるしかありません。
不貞行為は離婚事由に該当しますので、一方の不貞行為が原因で夫婦関係が破綻したことを立証すれば、離婚を成立させ慰謝料が請求できます。
そのため相手方の不貞行為が原因で離婚したい場合に、納得がいく条件で離婚を成立させるためには、裁判で不貞行為の事実が認められる明確な証拠が必要となります。
不貞行為を立証するために有効となる具体的な証拠
不貞行為を立証するための具体的な証拠例についてご説明します。
1.メールやLINEの画像
メールやLINEなどで浮気相手に送った文章などは、裁判所にも不貞行為の証拠として提出されるケースが増えていますが、二人の間に肉体関係があることがわかる内容であることが必要です。
また画像の加工ができないように、画面を撮影したものの方が有効とされています。
2.SNSやブログ
FacebookやInstagram、TwitterなどSNSへの投稿や、ブログに浮気相手に関する写真や文章が掲載されている場合は証拠となる可能性があります。
SNSではダイレクトメッセージでのやり取りをすることが多いですが、それを撮影したものも有効です。
その場合、アカウントが本人のものであり、やり取りをしている日時が明確にわかる必要があります。
3.写真、動画
不貞行為の証拠となり得るのは、主として以下の写真や動画です。
① ラブホテルや浮気相手の自宅に入る時や出る時
② 裸や性行為、またはそれに近い状態
③ 相手と二人で旅行している写真
④ 相手の自宅やホテルなどでのツーショット
4.音声データ
証拠としては強いものではありませんが、配偶者と相手が会話をしている音声で、不貞行為が行われていることがわかる内容や、性行為やそれに類することがわかる音声は可能性があります。
また、配偶者が不貞行為の事実を認めた際の音声を録音しておくと、それも証拠となり得ます。
5.SuicaやPASMO、ETCの利用履歴
こちらも証拠としては強いものではありませんが、普段行かないような場所への電車の移動履歴やETCの利用履歴も証拠として認められる場合があります。
これに合わせて使用した、ホテルやレストランなどのクレジットカードの履歴などがあると証拠が補強されます。
6.スケジュールアプリや手帳、日記など
配偶者が相手に会ったことがわかる記述のある日記や手帳、スケジュールアプリの継続的な記録も証拠になり得ます。
また、配偶者が相手に会ったと思われる日を自ら記録しておくことで、5に記載のデータと突き合わせて証拠とすることも可能です。
7.探偵事務所・興信所を利用する
1~6をご覧になって、なかなか難しいと思う方が多いかも知れません。
最も現実的なのは配偶者のスマートフォンに残っているデータですが、ロックの解除ができないケースも多く、うまく証拠を揃えられない場合もあります。
そんな時にはコストはかかりますが、探偵事務所や興信所に浮気調査を依頼するという方法を取ることも考慮する必要があるでしょう。
探偵事務所や興信所が調査報告書として提出したものは、裁判所に証拠として認められることが多いです。
まとめ:迷ったり困ったりしたら弁護士にご相談ください。
不貞行為の有効な証拠を集めるのは、難易度が高く時間もかかり精神的には辛いものです。
また、実際に有効なのかどうか判断がつかない場合もあり、やみくもに突き進めば大きなトラブルとなる懸念さえあります。
もし迷ったり困ったりした際には、離婚を専門とする弁護士に相談されることをお薦めします。
適切なアドバイスにより、前向きに進めるケースも多くありますので、まずはお気軽にご連絡ください。