勝手に離婚届けを出された場合の対処法|西宮神戸尼崎の弁護士ブログ


勝手に離婚届けを出された場合の対処法


兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。こちらが離婚の意思がないにもかかわらず、相手が離婚届けを勝手に提出してしまった場合どのように対処したら良いのでしょうか?まとめてみましたのでご参考にされてください。


目次



🌸勝手に離婚届を提出された「離婚」は無効です

🌸離婚届の偽造や勝手に提出することは犯罪になる可能性があります

🌸離婚届を勝手に提出する2つのパターン

🌸離婚届を勝手に提出されたときの対処方法

🌸「離婚届不受理申出」を申請しておきましょう

🌸離婚届を勝手に提出された場合はすぐに弁護士までご相談を


🌸勝手に離婚届を提出された「離婚」は無効です

相手から離婚を切り出され、拒否しているうちに相手が勝手に役所に離婚届を提出し、戸籍が書き換えられてしまうケースがあります。

こちら側に離婚の意思がなければ、勿論離婚を無効にすることは可能なのですが、一定の手続きを踏む必要あるためとても手間がかかってしまいます。


このような事態に及ぶ背景にはいくつかのパターンがあります。

1.協議が長期間にわたっていて、相手が追い詰められた気持ちになっている

2.相手に交際相手がいて、離婚を急がされている

3.相手と親権を争っており協議が難航している

このような状況の中、相手が勝手に離婚届けを提出してしまうことが実際に起きているのですが、これは犯罪行為には当たらないのでしょうか?



🌸離婚届の偽造や勝手に提出することは犯罪になる可能性があります



このような行為は、勿論犯罪行為となる可能性があります。

1.有印私文書偽造、行使罪

勝手に離婚届に他人の署名押印をした場合、有印私文書偽造罪(刑法158条)が成立します。

そして、その書類を役所に提出した場合は、偽造有印私文書行使罪(刑法161条)が成立し、刑罰は3か月以上5年以下の懲役刑となります。


2.電磁的公正証書原本不実記録罪

「電磁的公正証書原本不実記録罪」(刑法157条)という犯罪があります。

公的な電子記録を嘘の書面によって書き換えさせることが犯罪となるのです。

戸籍は公的な電子記録に該当しますので、この犯罪も成立します。

刑罰は、5年以下の懲役または50万円以下の罰金刑となっています。

ですから相手が勝手に役所に離婚届けを提出すれば、刑事告発、告訴することも可能です。

しかし、ここで問題なのは相手が勝手に離婚届を作成し、署名押印を偽装したのか否かです。


🌸離婚届を勝手に提出する2つのパターン

相手が勝手に離婚届けを提出するケースには2つのパターンがあります。

1.偽造する

圧倒的に多いのがこの偽造パターンです。

相手が直接署名、押印してしまうケースや、友人、知人などを使い署名させるケースがあります。

このような場合も役所では通常通り受け付けてしまいますので、形の上では離婚が成立してしまいます。

2.過去にこちらが離婚届を書いてしまっていたパターン

中にはこちら側が署名、捺印してしまっていたパターンもあります。

過去にも離婚協議が行われ、その際に一旦離婚届を作成していたが、既にその気持ちが消えていたようなケースです。

離婚届提出時の離婚の意思が問われますので、勿論これも有効ではありません。

しかし自身で署名、捺印した離婚届を提出されてしまった場合、提出時にはこちらに意思がなかったことを主張し相手と争う必要があります。


🌸離婚届を勝手に提出されたときの対処方法

相手が違法行為を働き、こちらが刑事告訴をして刑事事件にした場合でも、既に成立している離婚が無効になるわけではありません。

離婚を無効にするには、家庭裁判所において「協議離婚無効確認調停」を申し立てなくてはならないのです。


1.協議離婚無効確認調停とは?

協議離婚無効確認調停は、勝手に提出された離婚届による離婚が無効であることを裁判所で確認するための調停です。

協議離婚無効確認調停を申し立て、離婚届の有効性について、相手と裁判所で話し合いを行います。

話し合いの中でお互いに無効であることに納得できた場合、裁判所で「合意に相当する審判」をしてもらい、協議離婚が無効となることが確認されるので、その審判書を役所に提出することで受け付けられた離婚届が無効となります。

これでようやく戸籍を離婚前の状態に戻してもらえます。


2.調停の具体的手続きは?

① まず役所で離婚届の写しを入手

まず役所に提出された離婚届の写し(記載事項証明書)を入手します。

② 署名押印が自分のものではないことを証明する資料を入手する

離婚届をこちらが自署捺印していない場合は、それが別な人物が書いたり、所有する印鑑とは別な印鑑が押印されていることを証明しなくてはなりません。

こちらが普段署名押印している筆跡、印章の資料を作成して準備します。

③ 協議離婚無効確認調停の申し立てを行う

資料の準備ができたら、協議離婚無効確認調停を申し立てを行いますが、以下の書類が必要となりますので用意する必要があります。

・申立書

・申立人と相手方の戸籍謄本(全部事項証明書)

・離婚届の写し(記載事項証明書)


④ 裁判所で話し合いを行う

調停を申し立て、家庭裁判所で相手方との話し合いを行い、相手が離婚届の偽造や勝手に提出したことを認めると合意ができます。

⑤ 合意に相当する審判を出してもらい確定証明書を取り寄せる

合意できたら、裁判所で「合意に相当する審判」をしてもらい、その後「審判書」が自宅に郵送されます。

双方に審判書が届いてから2週間経過すると審判内容が確定しますので、この時点で家庭裁判所に「審判確定証明書」を申請して入手します。


⑥ 役所に持参し手続きをする

審判書と審判確定証明書を役所に持参することで手続きが可能となり、離婚が無効となり戸籍を訂正してもらえます。


3.合意できなかった場合には、離婚無効確認訴訟を申し立てます

調停で相手と話し合いをしても、合意できず調停が不成立となるケースもあります。

その場合は「離婚無効確認訴訟」という裁判を申し立てなくてはなりません。

裁判で、相手方の離婚届の偽造やこちらに離婚意思がなかったことを証明できれば、判決で離婚を無効と判断してもらうことができます。

判決書と判決の確定証明書を役所に持参することで、離婚が無効であることが確定し、戸籍を元に戻してもらえます。

署名押印が偽造されたものであれば、調停で終わるものが多いですが、自署捺印してしまっていた場合には、裁判で争い難航するケースもあるでしょう。

このように、相手が離婚届を勝手に出してしまうと、離婚を無効とするための手続きは非常に煩雑で手間も時間もかかるため、このような事態に及ばないよう注意を払っておく必要があります。

特に一旦署名捺印してしまった離婚届がある場合は、意思が変わったら即座に廃棄しなくてはなりません。


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🌸「離婚届不受理申出」を申請しておきましょう

このような事態を防止するために有効なのが、「離婚届不受理申出」の制度です。

事前に役所にこの申請をしてさえおけば、離婚届を相手が勝手に提出しても受理されることはありません。

この手続きは、年間約3万件程度が利用されていると言われており、トラブルの予防に役立っています。

少しでも相手に疑念を感じた場合は、念のために提出しておけば安心です。




🌸離婚届を勝手に提出された場合はすぐに弁護士までご相談を

相手が離婚届を偽造したようなケースでも、一旦成立してしまった離婚を無効とするには、とても面倒な手続きを踏む必要があります。

相手が周到に準備してきたような場合は、簡単に覆らないこともあり得るのです。

スピーディーな対処が必要ですので、このような事態に陥った場合は、なるべく早い段階で弁護士などの専門家に相談されることをお薦めします。