熟年離婚する際の注意点!年金分割についてしっかり理解しましょう!
兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。今回は「熟年離婚する際の注意点」をまとめてみました。特に年金分割の問題はとても重要です。是非参考にされてください。
目次
🌸熟年離婚が増えています
🌸年金分割について
🌸年金分割の種類とは?
🌸年金分割は厚生年金・共済年金のみです
🌸まとめ:後悔しないために、わからないとこは専門家に相談を!
熟年離婚が増えています
最近、かなり増えてきているのがいわゆる熟年離婚です。
定年退職した夫が妻から突然離婚を突き付けられる、と言ったケースがよく見受けられます。
モラハラ気味の夫に、長年我慢に我慢を重ねてひたすら耐えてきた妻が、夫の定年退職などを機に離婚を求めると言ったケースが多いです。
熟年離婚で最も気をつけるべきことは、離婚後の生活設計です。
どうやって生活していくのかを具体的にイメージして計画を立てましょう。
財産分与について取りこぼしがないように、専門家に相談することが非常に重要です。
離婚をした後からでは、財産分与が極めて難しくなる場合も多く、取り返しのつかないことにもなりかねません。
年金分割について
熟年離婚の場合に、年金分割が可能なことあります。
年金分割制度とは、離婚後に一方の配偶者が加入している厚生年金・共済年金の納付実績の一部を分割して、片方の配偶者が受け取れるようにする制度です。
配偶者が厚生年金・共済年金に加入している場合、ご自身のもらえる年金が増える可能性があるというメリットがあります。
将来もらえる年金を分割したい人はもちろんのこと、現在年金受給中の人も年金分割は可能です。
ただ、分割請求には原則として「離婚した日の翌日から2年」という期間制限があります。
この期間制限を忘れている人が意外に多いのです。
離婚して何年も経ってからの分割請求は認められないことに注意しましょう。
年金分割の種類とは?
年金分割には、合意分割と3号分割という2種類の分割方法があります。
それぞれの分割方法につき、利用できる人、分割割合、分割対象の期間などが異なります。
合意分割とは、夫婦間の合意により、婚姻期間中の年金納付実績を分割する制度です。
第1号被保険者・第2被保険者の人も利用でき、分割割合は当事者の話し合い(合意できない場合は裁判で決める)で決定され、最大で1/2の分割を受けることができます。
一方、3号分割とは、第3号被保険者である期間がある人のみが利用できる年金分割です。
※第3号被保険者は国民年金の加入者のうち、厚生年金、共済組合に加入している第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の主婦や主夫を指します
この場合は第3号被保険者であった期間の保険料納付実績を分割することができます。
例えば婚姻期間中が25年、第3号被保険者である期間が20年であった場合では、20年分のみ分割請求が可能です。
分割割合は1/2となっています。
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年金分割は厚生年金・共済年金のみです
国民年金しか加入していない自営業者の配偶者への請求はできません。
また、厚生年金加入者の配偶者がいる人も、納付実績を分割できるのは厚生年金・共済年金のみになります。
配偶者の国民年金分の分割を受けることはできません。
さらに、自分の方が年金受給額が多い場合は、逆に配偶者から年金分割を請求される可能性がありますので注意しましょう。
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まとめ:後悔しないために、わからないとこは専門家に相談を!
年金は老後の生活を支える大切な財源です。
離婚時に年金分割を受けられるかどうかは譲れない条件と言っても過言ではありません。
話し合いが難航しそうであれば、弁護士を始めとする専門家にご相談することをお勧めします。
弁護士はできるだけ有利な条件で離婚できるようにアドバイスしてくれます。
後悔しない熟年離婚をするためにも、早めの対策をおすすめします。