コロナ離婚って何?どうやって回避したらいい?
その対処法とは?
2020年8月更新。兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。「コロナ離婚」というワードが話題となっています。コロナ離婚とは一体どういうケースを指すのでしょうか?その原因とは?対処法も含めてまとめてみましたのでご参考にされてください。
目次
🌸コロナ離婚とは?
🌸コロナ離婚の原因は?
🌸コロナ離婚を回避するためには?
🌸まとめ:こんな時こそ夫婦の絆を強くするチャンス!
コロナ離婚とは?
最近「コロナ離婚」というワードが話題となっています。
新聞、テレビなど様々なメディアでも取り上げられ、ニュース番組で特集が組まれたりしているので耳にした方も多いと思います。
「コロナ離婚」とはコロナへの自衛策や自粛対応などが原因となり離婚問題に発展するケースを指します。
当初は、自粛対応などで夫婦間での不満がかつてないほど高まり、Twitterなどネットを中心に多くのつぶやき、愚痴、意見などが拡散されているだけという状況でした。
しかしコロナ禍が長期化しつつある中、最近は実際に離婚に発展しているケースも増えつつあると感じます。
「コロナ離婚」というワードのインパクトの強さで本質が見失われがちですが、この現象はただの一時的な話題ではなくかなり深刻な問題なのです。
コロナ離婚にははっきりした原因があり、放置すれば取り返しがつかないことに発展する懸念があり、具体的な対策が必要だからです。
コロナ離婚の原因は?
原因の一つは「価値観の違いが修復できないほど決定的になってしまう」ことです。コロナ感染者や重篤な患者はかなり男性が多いそうですが、これにはいくつかの理由があるようです。
仕事や付き合いを含め男性の方が女性より行動範囲が広いことも挙げられますし、喫煙率が高いことや、持病を有している方が多いことも重篤化の原因と考えられます。
これらに加え言われているのは「公衆衛生に関する男性の意識の低さ」です。
(※一般論であり個々には逆のケースも多くあります)
例えば手洗い一つにしても、男性は女性に比し丁寧さに欠けるという指摘があります。
Twitterでも「夫が仕事から帰って来ても『そんなの大丈夫』と言って手洗いが雑」とか、「付き合いだからと飲み会を断らない」、「こんな夫の態度では子供が心配」などの悲痛なつぶやきが散見されます。
これらのことが離婚の原因となり得るのは「決して相入れない価値観の違い」と認識されてしまうためです。
一つの行動や現象ではなく、この先もずっと続いて行くすれ違い、決定的な価値観の相違が存在していることを再認識させられ絶望的になってしまうのです。
もう一つは「夫婦が一緒にいる機会・時間が圧倒的に増える」ことです。
休日に外出できず自宅で顔を合わせることが多くなることもありますし、リモートワークなど自宅で仕事をすることが増えていることもあります。
実はこれらは、私たちが今までほとんど経験したことのないような状況なのです。
特に長期間続くリモートワークは今までやったことがない方も多いと思いますし、PCなどを使ったWEB会議も増えている現状では、家庭が仕事場になってしまうこと自体が大きなトラブルの原因となっているのです。
人は環境が変わることでストレスを感じます。
今までと大きく違う生活パターンとなってしまうのは、想像を超えるストレスであると言えると思います。
これらの要因により家庭内の様々な感情的なもつれから、極めて不満が高まり易い状況になっていることで、夫婦間に大きなひびが入るケースが多いのでしょう。
欧米ではDVが増加
欧米では外出禁止期間に家族が一緒にいる時間が増えたことにより、ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待が増加し問題となりました。
ニューヨークタイムズによれば、イギリスでは3月23日の都市封鎖開始からの3ヵ月で、2~82歳の少女、女性26人がDVによって命を落としたとのことです。
今の日本とは比較にならない厳しい外出禁止令が発せられた各国では、閉ざされた環境の中で家庭内の不満や感情のぶつかり合いが増加しており、言い争いからDVに発展するケースも少なくありません。
過去の感染症増加時にも同様にDVが増えており、国連機関や世界保健機関(WHO)も警鐘を鳴らしていました。
また、日本においても阪神淡路大震災、東日本大震災の後には家族への暴力が増加したとのことであり、社会の不安定化がDV、虐待の原因となっていることがわかっています。
今回のコロナ問題においては、このようなリスクが避けられないことを認識しておく必要があり、離婚につながる様々な要因にあらかじめ十分な注意を払わなければなりません。
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コロナ離婚を回避するためには?
一つは、何と言っても話し合うことです。
言わなくてもそれぐらいわかってくれるだろう、などというのは、こんな有事には全く通用しません。
世間話ではなく、しっかりと場を設けて、この大きな変化に夫婦や家族は一体どのように対処するのかをきちんと意見交換する必要があるのです。
つまり「家庭内コロナ対策会議」を開催するのです。
資料は、厚生労働省や東京都のホームページなどのネット情報から「家庭でのコロナ予防策」の資料を印刷しておいたり、PC、タブレット、スマホなどを使い、タイムリーで気になる情報を一緒に閲覧したりするのが有効です。
そしてただの話し合いではなく、ペンとノートを用意し、各人の意見はきちんと書き留めることとします。
中には思い込みや誤解ですれ違っていることもあるでしょうし、自分では些細なことだと思っていたことでも、相手はとても重要に思っていたことに気づき驚いたりすることも実際にあるのです。
もう一つはその話し合いの中で夫婦間、家庭内での「ルールを決める」ことです。
例えば、帰宅時の手洗い、消毒方法、マスクの廃棄方法、夫婦間、家族間での家事の分担や、食事に関する決め事(例えばランチは夫々が自分で作るなど)、テレワーク時の注意事項(WEB会議の際は散歩や買い物等に外出するなど)をなるべく細かく、小さなことまでルール化しておくのです。
そして決めたルールは1枚の紙に箇条書きし、玄関やトイレの壁、冷蔵庫の壁面など、時折目にする場所に掲示しておきましょう。
「○○家コロナ対策5か条」など、表現に少し明るくコミカルな要素を加えるのも良いと思います。
人は他者が決めたことを押し付けられると、素直になれず反抗的になってしまうものです。
一方、自分も意見を述べ納得づくで決められたことなら積極的に守ろうとします。
その意味でも「家庭内コロナ対策会議」は有効な手立てと言えます。
また、収入の減少など今後の生活設計に関することも率直に話し合い、問題点を共有して、お互いにこの苦境を乗り越えるために気持ちを一つにしておく必要があります。
今認識しなくてはならないのは、私たちが今までに経験したことのないような特殊で厳しいトラブルの渦中に置かれているということです。
そしてそのトラブルが、夫婦や家庭という気持ちの拠り所まで壊しかねないのだという危機感を、夫婦、家族で共有することが大切なのではないでしょうか?
いつ終わるとも知れないこの状況の中で、もやもやしたまま不満を溜めて行くことは、精神的な辛さを抱えるだけでなく、いつか感情が爆発し最悪の事態に進むことも懸念されます。
また、コロナの感染状況は日々刻々と変化しており、対応策も常にアップデートしていく必要があります。
ですから、この「家庭内コロナ対策会議」を定期的に開催することは、家族のコミュニケーションと一体感を醸成するとともに、最新の情報に基づき家庭内のルールを見直す機会にもなります。
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まとめ:こんな時こそ夫婦の絆を強くするチャンス!
ピンチはチャンスという言葉があります。このような有事においては、夫婦の危機であるのと同時に、今までできなかった本音の話し合いを通して関係が修復されたり絆が強くなることもあります。
このピンチをチャンスに変えるためには、先ずはしっかりとした話し合いの場が作れるのはどうかにかかっています。
話し合った結果、決定的に価値観が相違していることがわかれば、離婚という結末になるかも知れません。
しかし話し合うことで、価値観の相違ではなく、一時の感情のもつれだったことがわかることも多いものなのです。
こんな時こそ大切な、本音の話し合いとルール化。
今こそ考えてみてはいかがでしょうか。