コロナで急増!暴力をふるう夫、DV夫には一体どう対処したらいいのか?
兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。「DV夫への対処法」についてまとめました。離婚を切り出したいが暴力をふるわれることが恐いというような、DV(ドメスティックバイオレンス)に悩んでいる女性は非常に多いです。コロナで急増していると言われるDVに一体どう対処したらいいのか?
目次
🌸コロナでDVが急増しています
🌸コロナでDVは何故増えるのか?
🌸まずは身の安全の確保を
🌸DV法について
🌸裁判所による保護命令
🌸子供を児童相談所に一時的に保護してもらうという方法もあります
🌸兵庫県の民間団体(シェルター)、母子生活支援施設、女性センターもあります
🌸まとめ:DV夫の更生は至難。勇気を出して専門機関に相談を!
コロナでDVが急増しています
外出制限が続く各国ではDVが急増したと言われています。
イギリスでは3月9日から4月19日までの間にDVによる事件が4000件以上発生しているそうです。
また、アメリカのニューヨーク州では、常設のDVホットラインに寄せられた相談件数が、3月は前月より18%増え、4月には前年同時期と比し30%も増加しています。
中南米諸国でも同様の被害急増が報じられており、世界各国に広がるDVの増加に、グレーテス国連事務総長が各国に対応を求める事態となっています。
日本国内においては諸外国の外出制限よりはやや緩やかな外出自粛という状況ではあるものの、他国と同様にDV被害の増加が報じられつつあり、予断を許さない状況となっています。
コロナでDVは何故増えるのか?
コロナでDVが急増している一番の要因は「ストレスが溜まること」です。
生活の変化にイライラが募ったり、仕事や収入の減少、将来不安などから精神的に不安定となる人が後を絶ちません。
また今までの生活でストレスを発散してきたレジャーやスポーツが制限されることで、はけ口を失っていることも要因に挙げられます。
また、元々DVの傾向があった人の行動が、家にいる機会が激増し家族と顔を合わせ続けていることでエスカレートしやすいこともあります。
そのようなの中では常時監視されているような形となるため、被害者も相談する機会を失っているという悲劇的な状況となってしまっているのです。
【ご参考】コロナ関連では4月20日に内閣府が新たなDV相談窓口を設置しました。
《DV相談+》
電話:全国共通で0120ー279ー889
(24時間受付け)
メールやSNSでも相談を受け付けており専用のサイトからアクセスできます。
アドレスは、https://soudanplus.jp/
まずは身の安全の確保を!
些細なことで突然怒り出し、暴力をふるう夫。離婚を切り出したいが、離婚話を出した途端に、暴れて手が付けられなくなってしまう。
このようなDV(ドメスティックバイオレンス)に悩んでいる女性は平時でも非常に多いです。
DVとは、家庭内など親密な関係にあるパートナーからの暴力と定義されています。
以下ではDV夫に対する対処法をお話したいと思います。
DVの本質は、加害者の暴力により被害者が恐怖心や精神的委縮を利用した、加害者の被害者に対する「支配」です。
夫婦喧嘩との違いは、加害者による一方的な「支配」の有無です。
この点、夫婦喧嘩は対等・平等です。
しかしながら、DVは、加害者が被害者を暴力により一方的に「支配・コントロール」します。
また、DVは構造的に、被害者が加害者の「支配・コントロール」から抜け出しにくいという特徴があります。
ですが、DVだと思ったら、勇気をもって、加害者の「支配」から抜け出す努力をしましょう。
そのためには、日ごろから避難場所を確保しておくことが大変重要です。
法律事務所や行政機関に早めに相談し、信頼できる弁護士や担当者を確保しておきましょう。
保護命令の申立てをする場合は、弁護士に依頼されるのが早道です。
なお、すでにお怪我をされている場合には、病院で診察を受け、診断書を作成してもらうことが重要です。
ご自分でも傷害部位の写真を撮影しておきましょう。
DV法について
ⅮV法(正式名称は、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」と言います。)とは、配偶者から暴力をうけている被害者を保護するための法律です。DV法には、配偶者暴力相談支援センター(以下、「センター」と言います)の定めがあります。
「センター」とは、配偶者から暴力を受けている被害者を救済する中心的な機関です。
最寄りの「配偶者暴力相談支援センター」に相談に行き、支援を受けることを強くお勧めします。
「配偶者暴力相談支援センター」は、カウンセリング、一時保護等をしてくれるほか、警察や福祉事務所とも連携を取って、被害者の保護に努めてくれます。
例えば兵庫県(兵庫・神戸市)では下記の機関があります。
兵庫県立女性家庭センター(兵庫県神戸市中央区山手通5丁目10番1号 兵庫県庁内)
078-732-7700
神戸市配偶者暴力相談支援センター(女性のためのDV相談室)
078-382-0037
兵庫県立男女共同参画センター・イーブン
078-360-8551
神戸市配偶者暴力相談センター
078-361-8361
裁判所による保護命令
配偶者との接触を避けるためには、DV法に基づき、裁判所に「保護命令」の申立をする方法があります。
申立てが認められた場合には、裁判所が、①接近禁止、②退去命令のどちらか、もしくは①②両方を命令してくれます。
申立てをする際には、事前にセンターや警察に保護を求めたことがある場合には、その事実を記載する必要があることに注意してください。
接近禁止命令がでれば、効力を生じた月から向こう6カ月間は、被害者の住居や勤務先等で、被害者につきまとったり、近くを徘徊することが禁じられます。
退去命令が出れば、効力を生じた月から向こう2カ月間、加害者が自宅等から退去することが命じられます。
保護命令に違反した場合には、「1以下の年懲役または100万円以下の罰金」という刑事罰が科せられます。
刑事罰を科すことで、つきまとい等の行動を抑止することが期待されます。
子供を児童相談所に一時的に保護してもらうという方法もあります
神戸市では各区役所の子ども家庭支援課にご相談ください。行政機関の判断により、子供を一時的に児童相談所に保護してもらうことができます。
ただし、その後は、親御さんだけの都合で保護の解消はできません。
家庭調査により、家庭内の養育が問題ないとされた場合に一時保護が解消されます。
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兵庫県の民間団体(シェルター)、母子生活支援施設、女性センターもあります
(神戸市)ウィメンズネットこうべ
078-731-0324
フェミニストカウンセリングこうべ
078-360-5030
W・S・ひょうご
078-251-9901
性暴力被害者支援センターひょうご
06-6480-1155
(西宮市)
西宮市DV相談室
0798-23-6011
女性のための相談室
0798-64-9498
婦人相談
0798-35-3166
(尼崎市)
尼崎市配偶者暴力相談支援センター
06-4950-0589
尼崎市女性センタートレビエ
06-6436-8636
【KADOKAWAから書籍が発売されました!『誰も教えてくれなかった「離婚しないための「結婚」の基本』】
まとめ:DV夫の更生は至難。勇気を出して専門機関に相談を!
DVには、「暴力のサイクル」と言われるものがあります。
加害者は、暴力を振るった後は、泣いて謝ったり、二度としないと誓ったり、高価なプレゼントを贈ったりするため、つい被害者は許してしまいがちです。
夫から暴力を受けるのは、自分が悪いなどと考えて、自らを責めることすらあります。
自分さえ我慢すれば、いずれ夫の暴力はなくなると考えてしまいます。
しかしながら、この考えは間違っています。
被害者に落ち度はなく、悪いのは暴力を振るう加害者の夫です。
そして、夫の暴力は100%治らないと言っても過言ではありません。
DV夫を更生させることは至難の技です。
一刻も早く、ご自身の身の安全を確保してください。
また勇気を出して、一刻も早く専門機関に相談しましょう。
当事務所でもDV相談は、優先して行っています。是非ご相談ください。