離婚時の財産分与が2分の1以外となる条件は?
兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。離婚をする際の財産分与では、原則として夫婦が築き上げてきた財産を2分の1で分ける「2分の1ルール」が採用されています。しかし事情によってはこの割合を変更することが可能になる場合もあります。どんなケースなら2分の1以外が認められるのでしょうか?
🌸財産分与はなぜ2分の1なのか?
財産分与は、婚姻期間中に夫婦が一緒に築き上げて来た共有財産を、離婚する際に夫婦で清算することを指します。
そしてこの割合は、原則として2分の1となっています。
これは、妻が専業主婦であったとしても変わりません。
夫婦の婚姻生活中の貢献度は同等とされており、夫の収入は妻の育児や家事などのサポートがあってこそ得られているという考え方なのです。
しかし、これも必ず2分の1にしなくてはならないというわけではありません。
当事者の夫婦間で同意が得られるならば、割合は自由に決めて財産分与を行うことは何ら問題ありません。
同意さえあれば9:1でも10:0でも可能なのです。
実際に離婚を急いでいる場合に、財産分与については不利な条件を許諾する代わりに、一日も早い離婚の成立を要求するようなケースはよくあります。
それでは当事者の合意がない場合に、裁判等で2分の1以外の割合での財産分与が認められるのはどんな場合なのでしょうか?
それは明確に貢献度に違いがあると認定された次のようなケースです。
🌸一方が特別な才能や能力によって財産を形成した場合
夫婦のどちらか特別な才能や能力によって財産を形成したと認められる場合には、財産を築いた側が2分の1より多い割合で分与を受けられる可能性があります。
医師などの特定の資格を有する場合には、これらの資格を取得するために大きな努力やコストがかかっていると言えますので、資格を元に資産を形成してきたのであれば、その貢献度は高く認定される可能性があるのです。
また、会社経営者、事業家などもそれまでの経緯に鑑みて、貢献度が高く修正されることもあり得ます。
このようにそれぞれの経歴や実績により、特別な才能や能力によって財産を形成したと判断されれば、2分の1を上回る財産分与となる可能性があります。
🌸一方の浪費が激しく財産を減らしていた場合
逆に、一方の財産形成に関する貢献度が著しく低い場合にも2分の1ルールが修正されることがあります。
例えば、ギャンブルやブランド品、趣味などで莫大な金額を浪費し、夫婦の共有財産を大きく棄損したようなケースでは、財産分与の割合は低くなる可能性があります。
🌸特有財産を原資として財産を形成した場合
財産分与の対象となるのは、婚姻期間中に夫婦で築き上げた「共有財産」のみです。
夫婦それぞれが有していた「特有財産」は対象となりません。
それでは例えば、結婚前に保有していた株式が高騰した利益や、遺産相続で得た不動産の賃貸収入などはどう考えるべきなのでしょうか?
このように、特有財産を原資として財産を形成した場合には、特有財産による寄与が大きいと判断され、財産分与割合が修正されることも考えられます。
しかしこれらは、共有財産と特有財産を明確に分離して管理するなど、お金の流れがはっきりとわかる場合に限られます。
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🌸まとめ:困った時は弁護士にご相談ください。
離婚時の財産分与が2分の1以外となる条件についてまとめてみました。
離婚時の財産分与は、その後の生活設計に与える影響が非常に大きいため、慎重に検討しておく必要があります。
具体的にはその状況によって大きく異なりますので、疑問点がある場合は個別に弁護士などの専門家にご相談ください。