離婚後相手が死亡したら養育費はどうなる?遺族年金は?
兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。離婚後に養育費を支払っていた相手が病気や事故などで死亡してしまった場合、その後の養育費はどうなるのでしょうか?代わりに遺族年金を受け取ることはできるのでしょうか?まとめてみました。
🌸離婚後相手が死亡した場合、養育費はどうなる?
離婚後に養育費を支払っていた相手が、病気や事故などによって死亡してしまった場合、その後のもらうはずだった養育費はどうなってしまうのでしょうか?
通常は、支払うべき相手がいなくなってしまえば、その後は養育費は受け取れません。
しかし、死亡時点で未払分がある場合は、その金額は金銭債務に該当しますので、相続人に請求することが可能です。
もっとも、通常子どもは相続人となり遺産を相続しますので、養育費が問題となるケースは多くはありません。
また、もう一つの方法として、一定要件を満たしている場合には、養育費の代わりに遺族年金を受けることもできます。
🌸遺族年金を受給するための条件
遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。
遺族基礎年金は国民年金への加入によって発生し、遺族厚生年金は厚生年金(社会保険)への加入によって発生します。
そして、子どもが遺族年金を受給するためには、下記の条件を満たしている必要があります。
1.養育費を支払いしていたのが国民年金、あるいは厚生年金の被保険者であること
2.被保険者の年金制度への加入期間のうち保険料納付済期間と保険料の免除や特例期間を合算した期間が3分の2以上あること
3.子どもが18歳に達してから最初の3月31日を迎えていないこと、または、子どもが20歳未満の子であり、第1級、第2級の障害があること
4.子どもが未婚であること
以上の条件を満たせば遺族年金が受給できる可能性がありますが、子どもが婚姻したり、親族以外の者の養子になった場合や、850万円以上の年収がある場合には受給できません。
また、遺族基礎年金は、子どもが両親の一方と生計を共にしていれば支給されませんので、通常は遺族厚生年金のみの受給となるケースがほとんどです。
🌸遺族年金と児童扶養手当は同時に受け取れない
大事なポイントは、遺族年金と児童扶養手当は、同時に受け取ることができないということです。
つまり、遺族年金を受給したい場合には、児童扶養手当の受給を解除する必要があるのです。
金額的には、一般的に遺族年金のほうが年間支給額が多くなることが多いのですが、それも結局は相手が被保険者として厚生年金を支払ってきた金額(収入)がベースとなりますので、どちらが金額が多いかはケースバイケースです。
しかし、万が一相手が死亡して養育費が支払われなくなった場合でも、遺族年金の受給という方法が選択肢として残されていることは頭に置いておきましょう。
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🌸まとめ:迷ったり困ったりしたらまず専門家に相談しましょう。
離婚後に相手に万が一のことがあった場合、その後の養育費などの問題で不安になるのは当然のことです。
しかし状況に応じた対応策がありますので、一人で悩まずにまず専門家に相談してみることをお薦めします。
当事務所でもご相談を承っております。