元配偶者が知らない間に再婚! 養育費は返してもらえる?|西宮尼崎芦屋の弁護士ブログ


元配偶者が知らない間に再婚! 養育費は返してもらえる?



兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。養育費を支払っていて、元配偶者と疎遠になっているようなケースで、相手が知らない間に再婚していた場合、養育費は返してもらえるのでしょうか?まとめてみました。



🌸知らない間に元配偶者が再婚?!

養育費を支払っていいて、元配偶者と疎遠になっているようなケースでは、相手の状況を十分に把握していない場合もあります。

もし相手が知らない間に再婚していた場合は、養育費の支払いがどうなるのか気になるでしょう。

もし再婚相手が子どもが養子縁組していた場合は、養育費を支払わなくてもよくなる可能性があるのです。


しかし、同居はしているものの養子縁組をしていないケースはどうなるのでしょうか? 

また、養子縁組していることを知らずに養育費をずっと払い続けていたようなケースでは、払いすぎた分の養育費は返還請求できるのでしょうか?



🌸養育費の返還請求はできるか?


養育費はいったん取り決めた以上、変更するまでの間は合意内容が有効となりますので、基本的には養育費の返還請求は困難です。


相手の再婚、養子縁組などで状況が変わり養育費の金額が不合理となった場合は、話し合いや調停によって金額を変更する必要があります。

自然に減額されることはないのです。


例え元配偶者が再婚し養育費が必要ない状況に変わっていたにもかかわらず、それを知らずに払い続けていたケースであっても、返還請求して取り戻すことは難しいのです。

しかし、相手と話し合いによって合意すれば返してもらうことはできますし、相手にだまされていたなどの事実がもしあれば返還請求できる可能性もあります。



🌸養育費の減額、免除ができる可能性があるのはどんな場合?

養育費の返還請求は難しいですが、元配偶者が再婚したことによって、養育費の減額、免除ができる可能性があります。


しかし相手が再婚しただけでは、扶養義務がなくなるわけではありません。

再婚相手と子どもが「養子縁組」している必要があるのです。


養子縁組をすると「法律上の親子関係」が作られるので、新しい「養親」が一次的な扶養義務者となります。

その場合では、別居している実親が負うのは二次的な扶養義務となり、養親に十分な資力がないなどの場合にのみ、扶養義務を負うことになります。


一方、元配偶者が再婚しても、子どもと再婚相手が養子縁組しない場合には、再婚相手は子どもに対する扶養義務を負いません。

よって、従来通り養育費を払い続ける必要があります。

このように、養育費の支払い義務は「養子縁組したかどうか」で変わってきますので、相手が再婚した場合には養子縁組の有無を確認しなくてはなりません。


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🌸養育費を減額・免除する具体的方法

相手の再婚や養子縁組などを知った時点で、勝手に養育費の送金を止めてしまう方がいますがそれは間違いです。


養育費の支払いについて取り決めをしている場合においては、減額や免除の合意をしない限りは、それまでの取り決めていた内容が有効となります。

もし「公正証書」や「調停」で養育費を取り決めていた場合には、元配偶者から、給料や預貯金などの財産を差し押さえられるリスクもあります。


子どもが元配偶者の再婚相手と養子縁組したような場合には、減額、免除の手続きを以下のような手順で進めていきましょう。


1.元配偶者と話し合う

まずは元配偶者と話し合いを行いましょう。

払いすぎた養育費があれば返還請求を申し出てて、相手が同意すれば返してもらうこともできます。

養育費の変更等で合意できたら、あらためて合意書を作成しますが、その場合は事後のトラブルを防止するために、極力変更内容を明確に記載した公正証書を作成するようお薦めいたします。


2.養育費減額調停を起こす

元配偶者が話し合いに応じない場合や、話し合いに結果、養育費の減額、免除に同意を得られない場合には、家庭裁判所に「養育費減額調停」を申し立てます。


調停では調停委員が間に入りますので、感情的にならずに話し合いを進められます。

養育費を免除、減額する明らかな事情があれば、調停委員が相手方に変更に応じるよう促してくれます。

しかし調停でも元配偶者が納得しない場合には、「審判」に移行することとなります。

審判では、裁判官が妥当な養育費の金額を決め直しますし、再婚相手と子どもが養子縁組しているようなケースでは、養育費の支払い義務自体が免除される可能性も十分あります。

調停や審判で養育費の変更が認められた場合には、通常は「調停の申し立て時」まで遡って適用されます。

申し立てが遅れると、その分減額や免除の適用時期も遅くなりますので、話し合いが難しい場合や、上手く進みそうにない場合は、なるべく早く調停を申し立てることをお薦めします。


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🌸まとめ:迷ったり困ったりしたらまず専門家に相談しましょう。

例えば相手が知らない間に再婚していたり養子縁組を行っていた場合には、怒りの感情が湧き勝手に支払いを中止したりしたくなるのは当然だと思います。

しかし感情に任せて一方的な行動に出ると、相手からの「差し押さえ」など、想定外の大きなトラブルにつながることもあり、慎重に対応する必要があるのです。

迷ったり困ったりした場合は、まずは専門家に相談しアドバイスを得ることから始めてみてはいかがでしょうか?