住宅ローンが残っているのに離婚したら?その対処法は?西宮神戸尼崎の弁護士ブログ



住宅ローンが残っているのに離婚したら?その対処法は?


兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。離婚の際に大きな問題となるのが、購入済のマイホームをどうするかということです。特に住宅ローンが残っている場合には夫婦でしっかり話し合いを行い、その後のトラブルにつながらないよう対処しなくてはなりません。



目次

🌸住宅ローン契約のパターンは?

🌸住宅ローンの残債は?

🌸オーバーローンとアンダーローンとは?

🌸主たる債務者が家に住み続ける場合

🌸主たる債務者でない方が家に住み続ける場合

🌸まとめ:わからないことがある場合や困った時は、専門家に相談してください



🌸住宅ローン契約のパターンは?

住宅ローンのパターンには主として3つがあります。


パターン1:夫:主債務者  妻:連帯保証人

パターン2:夫:連帯債務者 妻:連帯債務者

パターン3:夫:主債務者  妻:債務負担なし(保証協会等を利用)

※夫と妻が逆のパターンもあります


夫が主たる債務者の場合を例にとると、妻が連帯債務者となってるケース、連帯保証人となっているケース、債務者・保証人となっていないケースです。

まずは、現在の住宅ローンがどのパターンとなっているかを確認しましょう。

また、念のために法務局で不動産の登記簿謄本を取得し、不動産の名義と設定されている担保権(抵当権など)の内容も同時に確認しておきましょう。



🌸住宅ローンの残債は?

離婚時の住宅ローン問題で最も重要なのが、住宅ローンの残額がいくらなのかです。

不動産の査定額(売却した場合の金額)よりも住宅ローンの残額が少なければ、売却した場合利益が出ます。

結婚後に取得した不動産は夫婦の共有財産ですので、基本的には利益を半分ずつ分けることとなります。


しかし逆に、不動産の査定金額よりも住宅ローンの残額が多い場合は、不動産を売却したとしてもローンだけが残ることになるため、離婚した後も住宅ローンを払い続けなくてはなりません。



🌸オーバーローンとアンダーローンとは?


前述の「不動産の売却額を住宅ローンの残額が上回る場合」をオーバーローン、逆に「不動産の売却額を住宅ローンの残額が下回る場合」をアンダーローンと呼びます。

不動産売却時に、オーバーローンは債務が残り、アンダーローンは利益が出ます。

オーバーローンの場合は、不動産を売却してもローンが残るだけですので、一般的には夫婦のどちらかが住み続けてローンの支払を続けるケースが多いです。

どうしても売却せざるを得ない場合には、残ったローンの金額をどのようにするかを夫婦間で協議しなくてはなりません。

一方アンダーローンの場合は、最もスッキリするのは、不動産を売却し利益を折半することです。

売却をしない場合には、ローンの負担をどうするか、不動産の名義(所有権)をどちらにするか、所有しない方の配偶者は財産分与としていくら受け取るのか、などの点について協議を行い問題点の整理をしておく必要があります。



🌸主たる債務者が家に住み続ける場合

例えば夫が主たる債務者で、不動産の名義も夫となっている場合、妻が家を出て夫が住み続け、そのまま夫が住宅ローンの支払いを続けるのが一番スムーズです。

しかし妻も連帯保証人や連帯債務者となっていた場合、夫が住宅ローンの支払いを滞納したようなケースには、妻は責任を回避することはできません。

そのため、金融機関と交渉して妻の連帯保証などを外してもらう必要があります。

しかしその場合には、新たな保証人や保証協会の利用など、条件がつくことが想定されますので、簡単には進まないことを理解しておきましょう。

また、アンダーローンで利益が出る場合で夫が住み続けるケースでは、利益に相当する部分は財産分与の対象となりますので、基本的には半分の額を妻に支払わなくてはなりません。


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🌸主たる債務者でない方が家に住み続ける場合


夫が不動産の名義人かつ住宅ローンの債務者でも、夫が家を出ていき、妻が家に住み続けるというパターンもあります。

しかし、このケースでは夫が住宅ローンの支払いを滞納した場合、妻は立ち退きを迫られることも考えられるため、非常に不安定な立場となります。

また、住宅ローンの債務者が実際には家に居住していない形となってしまいますので、金融機関との間で問題点の整理を行わなくてはならず、簡単には行きません。

住宅ローンの債務者変更を行い妻が払おうとしても、収入面なども含め審査が通るかどうかは難しい問題です。

妻が家を取得する場合においても、住宅ローンが完済するまでは、名義変更はできませんので、離婚協議の中で「完済後に不動産は妻の名義に変更する」というような内容を取決め、協議書に入れ込んでおく必要がります。

また、アンダーローンで利益が出る場合で妻が住み続けるケースでは、利益に相当する部分は財産分与の対象となりますので、基本的には半分の額を夫に支払わなくてはなりません。

しかしローンを返済中の場合には、完済後に払うのか、月々分割して払っていくのかなど、具体的に取り決める必要があります。


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🌸まとめ:わからないことがある場合や困った時には、専門家に相談してください

記載してきたように、住宅ローンが残っている場合の離婚では、その状況に合わせこと細かく取り決めを行わなくてはならないため、状況はかなり複雑です。

アンダーローンで家を売却する場合は問題ありませんが、どちらかが住み続ける場合や、オーバーローンのケースでは、基本的な考え方を理解した上で、しっかり話し合って具体的な対応策を決定し、それをもとに離婚協議書や公正証書を作成しておく必要があります。

わからないことがある場合や困った時には、弁護士などの専門家にご相談ください。

当事務所でも承っておりますので、お気軽にご連絡ください。