母子家庭への養育費は4人に3人が不払い?!解決の道は?
兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所代表弁護士の後藤千絵です。ひとり親家庭の貧困率の高止まりが問題となっており、原因に「離婚後の養育費を4人のうち3人が受け取っていない」というデータが挙げられています。明石市の「養育費取り決めサポート」など最新の動きとともに、改善方法をまとめてみました。
目次
🌸ひとり親家庭の貧困率は50.8%!
🌸母子家庭への養育費は4人に3人が不払い?!
🌸法改正で強制執行しやすくなった?
🌸まとめ:離婚を考えたらまずは弁護士に相談!
ひとり親家庭の貧困率は50.8%!
2015年時点の国勢調査結果においては、一般家庭5,333万1,797世帯に対し、母子家庭が75万4,724世帯、父子家庭が8万4,003世帯となっており、ひとり親家庭の合計は83万8,727世帯であることが判明しています。このデータは国勢調査でわかった世帯数のみであり、推計では母子家庭123.2万世帯、父子家庭18.7万世帯、合計では140万世帯を超えるとも言われています。
1990年の国勢調査と比較してみると、母子家庭は20万世帯も増加しており、その理由の80%弱は離婚によるものです。
ひとり親世帯の抱える最大の問題点は収入の少なさです。
ひとり親家庭の子供の貧困率が50.8%と極めて高い数値となっています。(2016年国民生活基礎調査より)
※貧困率には衣食住が困難な人の割合=絶対的貧困率と、所得が国民の「平均値」の半分に満たない人の割合=相対的貧困率がありますが、本記事で申し上げる貧困率は相対的貧困率です。
国民生活基礎調査2015年によれば、日本における平均貧困率は15.6%ですので、ひとり親家庭の貧困率は異常に高いとも言える数値です。
実は元々日本は先進国の中で最も貧困率の高い国の一つです。
日本の賃金構造は「男性(正社員)10:女性(正社員)8:男性(非正規)6:女性(非正規)4」という意見がある通り、世界的に見ても日本は所得格差が際立って大きい国であると言えると思います。
欧米では「同一労働同一賃金」の国が多いので、日本の賃金構造が貧困率を大きく押し上げている可能性が指摘されています。
更にひとり親世帯の状況を更に悪化させている要因として、「養育費の不払い問題」が挙げられています。
母子家庭のうち4人に3人は養育費が受け取れておらず、このことが母子家庭の貧困率が高止まりしている理由の一つになっているのです。
養育費が不払いとなっている理由の一つに日本の離婚事情があります。
日本では90%が協議離婚であり養育費を口約束で済ますことが多く、調停や公正証書を交わしているケースが限定的です。
このことが不払いの温床となっているとも言われているのです。
2019年5月に民事執行法が改正されました。
不払いの養育費があった場合、同居親が強制執行を申し立てれば裁判所が相手方の財産から差し押さえやすくなったのです。
ポイントは以下です。
①不出頭や虚偽陳述をした場合は懲役6カ月以下または50万円以下の罰金
②財産開示手続きの申立人が公正証書で決めた人も可能になる
③裁判所が市町村や金融機関、登記所、年金事務所などに相手の財産情報を照会する「第三者からの財産情報取得手続き」で財産開示が比較的容易になる
今回の改正法はかなり実効性の高い内容となっています。
しかしこれも公正証書など法的文書が交わされていることが前提ですので、日本における問題解決の効果は限定的だとも言われています。
やはり大前提として離婚時にしっかり取り決め、文書を交わしておかなければ不払いのリスクを回避するのは難しいのです。
※貧困率には衣食住が困難な人の割合=絶対的貧困率と、所得が国民の「平均値」の半分に満たない人の割合=相対的貧困率がありますが、本記事で申し上げる貧困率は相対的貧困率です。
国民生活基礎調査2015年によれば、日本における平均貧困率は15.6%ですので、ひとり親家庭の貧困率は異常に高いとも言える数値です。
実は元々日本は先進国の中で最も貧困率の高い国の一つです。
日本の賃金構造は「男性(正社員)10:女性(正社員)8:男性(非正規)6:女性(非正規)4」という意見がある通り、世界的に見ても日本は所得格差が際立って大きい国であると言えると思います。
欧米では「同一労働同一賃金」の国が多いので、日本の賃金構造が貧困率を大きく押し上げている可能性が指摘されています。
更にひとり親世帯の状況を更に悪化させている要因として、「養育費の不払い問題」が挙げられています。
母子家庭への養育費は4人に3人が不払い?!
厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によれば、養育費を受給している母子世帯の母は24.3%となっています。母子家庭のうち4人に3人は養育費が受け取れておらず、このことが母子家庭の貧困率が高止まりしている理由の一つになっているのです。
養育費が不払いとなっている理由の一つに日本の離婚事情があります。
日本では90%が協議離婚であり養育費を口約束で済ますことが多く、調停や公正証書を交わしているケースが限定的です。
このことが不払いの温床となっているとも言われているのです。
法改正で強制執行しやすくなった?
2019年5月に民事執行法が改正されました。
不払いの養育費があった場合、同居親が強制執行を申し立てれば裁判所が相手方の財産から差し押さえやすくなったのです。
ポイントは以下です。
①不出頭や虚偽陳述をした場合は懲役6カ月以下または50万円以下の罰金
②財産開示手続きの申立人が公正証書で決めた人も可能になる
③裁判所が市町村や金融機関、登記所、年金事務所などに相手の財産情報を照会する「第三者からの財産情報取得手続き」で財産開示が比較的容易になる
今回の改正法はかなり実効性の高い内容となっています。
しかしこれも公正証書など法的文書が交わされていることが前提ですので、日本における問題解決の効果は限定的だとも言われています。
やはり大前提として離婚時にしっかり取り決め、文書を交わしておかなければ不払いのリスクを回避するのは難しいのです。
🌸行政(明石市)の新しい取り組み「養育費取り決めサポート」とは?
兵庫県明石市は離婚後に子どもの養育費の不払いを防ぐため、2021年3月末まで予定で「養育費取り決めサポート」を実施しています。
このサービスは、家庭裁判所など現行の制度を活用できるよう、書類の書き方のアドバイスや手続きにかかる費用の補助によって支援するものであり、対象は「養育費の取り決めを検討中で、子どもが明石市内に住む保護者」です。
家庭裁判所による調停調書や公証役場の公正証書などがスムーズに取得できるように、調停調書の作成が3,000円程度、公正証書の作成が1万~3万円程度と金額が抑えられている。
一方、調停調書などの取り決めがあるのに養育費が不払いの場合、明石市は7~8月の間、6月、7月分の養育費について、いずれか1カ月分(上限5万円)を立て替える取り組みを実施しました。
これは市が立て替え払いをし、支払うべき相手方に請求するという全国初の画期的な取り組みであり、今後他の自治体への広がりも期待できます。
しかし、このような取り組みも公正証書などでの、養育費の取決めが前提となっており、ともかく離婚時の対応が大切であることは間違いありません。
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まとめ:離婚を考えたらまずは弁護士に相談!
離婚は幸せになるための新たな人生のスタートです。
しかししっかり準備をして臨まなければ、思い描いていた生活とは違う未来となってします可能性もあるのです。
まずはそれぞれの皆様の状況や環境から、どのような対策が必要なのかを信頼できる第三者に相談し、問題点の把握から始めることが重要なのだと思います。
フェリーチェ法律事務所はそれぞれの皆様の立場に立ち、最初の一歩からご相談に乗っています。
どんな些細なことでも構いませんので、疑問やご質問があればまずはご連絡してみてください。